「ラブゴーゴー」

台北の街が舞台の普通の人たちの恋物語


  

今回は「愛情来了(邦題:ラブゴーゴー)」。97年の台湾の作品。
阪急神戸線「王子公園」駅の近くにある「西灘劇場」。祝日だというのに総勢18名の超満員。上映途中で、劇場中におっさんのイビキが響くという、少し(いや、大いに)悲しい状況。

さて、この「ラブゴーゴー」、30過ぎのパン職人と、このパン職人と同じ下宿に住むハタチ過ぎのかなり太めのOLの、それぞれの恋物語を描いた作品なのね。

パン職人のアシェンは、自分の店にいつもレモンパイを買いに来る、足の悪い美しい女性(リィーフォア)が、実は自分の小学校の同学(同級生)だと気づく。彼女を見たアシェンは、もうずーっと前に忘れてしまっていた、リィーフォアとの想い出にひたり、美しく成長した彼女に恋してしまう。
下宿に戻り、一人机に向かいラブレターをしたためるアシェン。でも、どうしても手紙を渡せない。そんな彼は、恐ろしくロマンチックな名前を付けた新しいケーキを作って気を紛らわす日々を過ごす。

一方、太めのOLリリーは、ある日、道端でポケベルを拾う。そのポケベルが鳴るたびに「何かいいことがあるかもしれない」と胸をときめかすのね。まるで恋人からの連絡が入っているかのように...。
OL仲間がデートにいそしむ姿を横目にリリーはひとり下宿でアクセサリー加工の内職にいそしむ。ダイエット中なのに、ついついお菓子に手が伸びるリリー。
すると、突然、停電。リリーは意を決して、ポケベルに表示される番号に電話を掛ける。彼女はたちまちポケベルの持ち主と「電話の中だけ」で、恋に落ちる。そして、勢いで、2週間後にデートの約束をしてしまったから、さぁ大変!リリーの涙ぐましい「ダイエット大作戦」が開始される。

ここでは、それぞれの「恋の結末」は申しませんが、恋って、なにも美男美女だけがするものではなくて、誰でも経験するもの。そんな、当たり前のことを台北の薄暗い下宿に住む仲間を通して、僕に語りかけてくたのがこの「愛情来了」(意味は「恋は(突然)やって来た」)です。
観終わって、爽快感やスッキリ感があるわけではないけれど、妙に、懐かしかったり、ほのぼのとする佳作でした。
どこか影のあるリィーフォア役のタンナもナカナカよい。僕もこんな人にシャンプーしてもらったり、カットしてもらいたいナ。
ちなみに、この作品の陳玉勲監督の前作でありデビュー作である「熱帯魚」という作品もgoodなので、折りがあればご覧下さい。

「ラブゴーゴー」は残念ながら24日(今日)まで。もう少ししたら多分ビデオになるから、それまで待つか、「ぴあ」などでチェックしてどこかでご覧下さい。

台湾の大地震の早期復興を願って。

次回は、いよいよ「クンドゥン」。

おしまい。