出会いの広場/Underground Rendezvous

地下にある桃源郷



  

全くノーマークのお話し。暮れにソウルのビデオ屋さんでみかけ「イムチャンジョンとリュスンボムが出ているお話しなら面白くないワケがない!」とジャケ買いした作品。
どんなお話しかなぁ、ちょいと楽しみ!

なんともノン気な出だしで、こんな感じのコメディなのかと思いながら観ていると、実はちょびっと深いお話しで、やっぱり南北分断というものは一筋縄では行かないのだなと深くため息をつく結末。

イムチャンジョンは田舎に住む両親を説得してソウルに出てくる。出てくると言っても何のツテがあるわけではなく、父親のへそくりまでもをむしり取って“とにかくソウルに出ればなんとかなるやろう”的な設定。う〜む、無茶とはわかっているけど、昔はこんなんで成功する可能性もあったのかな。
が、ソウルはおのぼりさんには優しくない。しかもイムチャンジョンなら上手く行くワケがないよね。
案の定、駅の改札を出たところで、なけなしの全財産が入った大事に抱えていたカバンをかっぱらい(なんとも古い表現や!)に奪われてしまう!
果たして、イムチャンジョンの運命は如何に!

警察署に行って訴えても、どの刑事にも相手にしてもらえないばかりか、その当時が全盛期だったのか民主化を求める学生運動の活動家たちが大量に取調べを受けていて、どこにも行く当てのないイムチャンジョンは(何故かわからないけど)この活動家たちと一緒に投獄されてしまう...。
向かった先はどこか田舎の教化施設。ここで労働をしながら思想改造を行おうという感じなのかな。それにやっぱり“田舎”とくれば江原道なんですね、韓国映画では...。その日はたまたま施設外での作業を行っていて、トラックに載せられてそこからの帰り道...。イムチャンジョンは荷台から用を足そうとして屈み込む。なんとそのまま走るトラックから転がり落ちてしまう。とんでもない山道に一人取り残されたイムチャンジョンは...。(ってここまでは、本当にコメディ路線でしょ!)

イムチャンジョンが命からがらたどり着いたのは...。
その村ではちょうどこの日、村の分教場にソウルから新しい先生が赴任する予定だった。村人たちはやって来たイムチャンジョンを“おかしいな、怪しいな”と思いながらも、その先生だと思い込む...。
一方、はるばるやって来た新しい先生であるリュスンボム。イムチャンジョンがいじってしまった道しるべのお陰で、村に付くどころか、とんでもない場所・休戦ラインに行ってしまう。もう日が暮れる。道なき道を進み、道に迷ったリュスンボム。ふと足許を見ると、なんと足の底には地雷が!これではもう一歩も進めない!(って、このあたりも、まだコメディ路線)

この辺りから物語りは徐々に舵が切られていく。
しかし、この映画の最大の欠点はマドンナ役のパクチニに魅力が無いことだと思うなぁ。イムチャンジョンやリュスンボムはともかく、脇もイムハンシクやイハヌィ、キムスミ、(ちびっとだけ)チェソングクと締まっているだけに惜しい。

ランデブーというか、ある意味“桃源郷”を描いているのだけれど、やっぱりこれっておかしい!
どういう道を辿るのかボクにはわからないけど、とにかく一日でも早く南北の統一を願わずにいられないですね。
ただ、映画としてはいささか中途半端な感じは拭えない。後半以降は何だかとってつけたような気もする。いっそのこと人情物のコメディに徹しても良かったのかもしれません。
日本での劇場公開は、ちびっと難しそうですが、上映会でなら可能性もあるかもしれませんね。ただ、必見というレベルでもないかな。

おしまい。