ハピネス

じんわりと、心 震える



  

久しぶりに“心が震えた”。
でも、激しくではなく、じ〜んと心に染み入るような震え方。幸せとは何なのか、しみじみと考える。遠くにあって手が届かないものなのではなく、実はもう自分の掌中にあるものなのかもしれないな。そう思って、今のボク自身を振り返ってみようと思う。深くそう思う。だから、ボク自身やその周囲にいてくれる人たちに感謝の気持ちを持って、それを伝えていくことが大切なんだなと思った。

しかし、ボクにはヨンス(ファンジョンミン)を否定できないし、彼の行動や気持ちも痛いほどわかる。
田舎で今送っている生活、その中にある幸せを噛みしめる。それも大事なんだけど、ここにはかつて自分が送っていた都会での生活にあった刺激や興奮はない。裏返せば、今の生活は代わり映えのしない退屈な日々の繰り返しでしかないということ。
こんな日々に満足していていいのか、このまま無駄に時間を過ごしてしまっていいのか。ヨンスは悩んで苦しむ。もし、ヨンスが自分だけで悩んでいるとしたら、たまにはお酒やタバコを飲んだりするだけで満足していたのかもしれない。しかし、そんなヨンスは外から刺激(ちょっかい?)される。

ヨンスの“弱さ”にボク自身を重ねてしまったのかもしれない。
何か決断するのに、大きなきっかけは必要ない。ただ何となくでいいのだ。昔の友人や恋人がソウルから訪ねてきたので会ってしまう。そして、ソウルへほんの軽い気持ちで行ってしまう(それも、自分の母親の家に寄る前に、店に行ってしまうのが哀しい)。そこからは、優柔不断で、楽な方へ転がって行ってしまうヨンス。その姿は、ひょっとしたらボク自身なのかもしれない。

驚きはウニを演じたイムスジョン。
この人、こんな芝居が出来たんだ。というか、ウニにイムスジョンを起用したスタッフの慧眼とそれに見事に応えたイムスジョン自身に拍手を送りたい。これで、彼女はアイドルという範疇を飛び出して女優として成長していけるのではないでしょうか。
戸外の水道の締りが悪くなり水漏れが止まらなくなって投げ出してしまう姿に、別れ話しを切り出され田舎道を走る姿に、熱いものがこみ上げてきた。
もちろん、ファンジョンミンの男臭さもいい。こんなバカな男なんだけど、彼の幅はここ数年で確実に広がっている。
もうひとつは、最近「M/エム」でも久々にスクリーンで会ったコンヒョジン。彼女もついこないだまでやんちゃな女子高生だったのに、すっかりオンナになって...。この人もすっかり変身して、いい感じになりました(びっくりした!)。

すっかりアンテナが錆び付いているので、この作品がどのような規模で公開されたのかも知らなかった。今回は“アンコール上映”ということだったので、数ヶ月前に公開されたのでしょうね。たいした話題にもなっていなかったのだとしたら、これは“惜しい”としか言いようがない。
若い人にはわからないかもしれない。だけど、ボクみたいなおっさんだからこそ大いに涙を誘われたのか...。年末のこの時期に拝見しましたが、最も深く印象に残る佳作であることは間違いありません。
それにね、思わず禁煙してみようかな、なんて思ってしまう効果もあったりして...。

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