イントゥ・ザ・ワイルド

青年は荒野を目指す



  

何故かボクとフィーリングが合う(このニュアンスわかるかな?)書店さんというものがある。残念ながら、今はそうでもないけど、近鉄奈良駅前の「啓林堂書店奈良店」、数年前はお邪魔すれば必ずびびっとくる本との出会いがあった。
そこで見つけた(けど買わなかった)のが大判の写真集のような本。表紙はモノクロ写真、雪の原野で朽ち果てていくボンネットバスが写っている(文庫版の装丁とほぼ同じ)。調べてみると1997年4月の発売でした。気にはなっていたけど、そのまま忘れてしまっていた。

その本を原作にしたのがこの作品「イントゥ・ザ・ワイルド」。
まず、映画化されるのを知り、それから文庫化された本を手に取った。主人公のクリス・マッカンドレスの取った行動や考え方、信条などは理解できないし、共感も出来ないけど、なんだか彼を貫いている「純粋」で「まっすぐなもの」はわかる。ボクにもこんなまっすぐな頃があったなぁ...。そんな風に遠くを見る目になる。
で、彼のまっずぐさと荒野(アラスカの大自然)をどのように映像化するのか、映画化に際しては、観てみたいという思いと不安とがないまぜになったような気分。
それになぁ、調べてみると上映館はナビオ。ちょっとイヤな予感が...。まぁ、これについてはくどくど云うのはやめておくけど...。

圧倒的な美しさ。
もう地球上に荒野は残っていないかもしれない。だとしても、美しい自然はまだ残っている。ナビオの劣悪な環境でもこれだけ圧倒されるのだから、普通の映画館で観たらクラクラするほど感動していたかもしれない。
しかし、この美しい自然もクリス・マッカンドレスの心情までは映し出せない。

こんな無鉄砲で純粋な青年がいてもいいかもしれない。いまくてもいいのかもしれないけど。
そんな中で、クリスが一体何を求めて、何がしたくてこのバスにたどり着いたのか?
もし、あの根を食べずに生き延びたとしたら、今彼は何を考え何をしているのだろうか?

世の中、嫌なことやわからないこと、曲がったことだらけだけど、たまにはこんなまっすぐな精神に出会うのもいいかもしれません。
ボクの拙い言葉での伝達は難しい、しかし映像での伝達も完璧ではない。原作を読んでから映画を観ことをおすすめしますが、その逆や片方だけでもいいかもしれません。ただ、ボクは圧倒されたけど、ひょっとすると、原作を読んでも、映画を観ても、何も感じない方がいらっしゃるかもしれません(何もそれは悪いことではないと思うけど...)。観る人、感じる人を選ぶ作品かもしれません。
間違いないのは映像の美しさ、かな?

ボクも時間と体力が許すのなら、いますぐにでも北へ向かいたいけど...。

おしまい。