小さな赤い花

こうして大きくなっていく子供たちって...



  

こちらは一転して、大陸からやってきたかわいいけど、新しい発見もあるお話し。
そもそも、ボクは今の日本の幼児教育の実際については全く知らない。この映画とは別の世界であることを願うし、中国の北京に於いても、このお話しの世界は、比較的特別な世界なのだと思いたい。
もちろん、全寮制の幼稚園なんて、存在そのものの発想も凄いけど、教育費も安くないだろうし、ある程度以上の経済的に恵まれている層のためなんだろうな...。

主人公の男の子は5歳くらいかな、親の都合で全寮制の幼稚園で暮らし始める。
広い寝室での共同生活が始まる。今までとは全く違う環境。主人公の男の子は戸惑うばかり。でも、そこは中国の子供たち、素早く適応し、この世界での生活に順応していくように見えたけど...。
狭い世界での価値観やヒエラルキー。そこを支配している力や序列を受け入れれば、ラクチンだし、その中で自分がのし上がって行けばどんどん待遇も変わっていく。なんだかね、大人の世界の縮図。

中国の体制は「長いものには巻かれろ」って感じで、表向きはお上には逆らわない。心の中で何を考えているかはわからないけど。そんな人生観はこんな幼い頃から養成されているんだねぇ。
しかし、そこで子供ならではの疑問も出てくる。価値の基準に疑問が出てくる。もちろん、ボクも褒められてあの赤い花を自分名前の横に貼ってもらいたい。でも、果たしてそれは自分がしたいことなのか?
何でもないことに「どうして?」と疑問を持つことは素晴らしいこと。でも、そうして疑問を持つことを「良し」としない環境では、悲惨なんだなぁ...。

ともかく、この幼稚園の全てが面白い。
おしゃまさんな姉妹、優しい先生に背が高くて規則を押し付ける先生。トイレも食事のシーンも狭い校庭で遊ぶシーンも新鮮で目を惹きます。

そうして、主人公は先生の目を盗んで幼稚園の外の世界へ。(少なくとも園内よりは)多様な価値観がある世界へ飛び出して行く! しかし、その先にはもっと厳しい世界が彼を待っているかもしれない、そう知っているだけに、なかなか素直になれないボクがいます。
子供や若い人たちが持っている多様な可能性をアタマから否定したり、踏みにじるようなことはずまいと心に誓ってスクリーンを後にしました。

再見!