あの日の指輪を待つきみへ

これも“指輪物語”...



  

知っている人は知っているけど、シャーリー・マクレーンは往年のかわいい大女優。
ジャック・レモンと競演した「アパートの鍵貸します」(1960年制作)のフランはかわいくて哀しい役柄だった。ボクはこの作品を25年程前に拝見し、腰を抜かしてしまうほど彼女に恋したし、ジャック・レモンに痛く同情した。そして、ふた月ほど前、今日観たこのお話しの予告編を目にして「必ず観よう」と決心した。

このお話し、上手く表現できないけど、脚本なのか編集なのか、どちらなのかはわからないけれど少し拙かったのではないか。本当はもっともっと盛り上げることが出来たはずなのに、ちびっと消化不良。ボクの緩み始めた涙腺、結局はそのままだった。少し惜しい気がした。

お話しは壮大。これが実話だというから、驚くしかない...。

第二次大戦直前。ミシガン州ブラナガン、空軍の航空学校。ここで学ぶ三人の仲良しは一人の魅力的な娘エセル・アン(ミーシャ・バートン)に夢中。エセルは屈託も無く三人の中でもテディを選び、結ばれる。そして、とうとう開戦を迎え、三人はB-17に乗りヨーロッパ戦線に送り出されることに...。
そして出征前、エセルとテディはジャックとチャックに見守られて教会で秘密裏に結婚式を挙げる。その式の前、テディはジヤックとチャックにある約束を迫り、二人に承知させる。
が、運命とは皮肉なもの。テディが搭乗したB-17は北アイルランドのベルファストで墜落、彼は命を落としてしまう。ジャックとチャックは負傷しながらもブラナガンに復員し、テディとの約束を果たすことになる。

そして、戦争が終わり46年が過ぎた1991年。
永年連れ添ったチャックを亡くしたばかりのエセルの許にベルファストから電話が入る。「あなたの名前が刻まれた指輪がここにある」と。記憶の奥底に封印していた思いが鮮やかに蘇る。
過去と現在、ブラナガンとベルファスト。その間を行き来しながら物語りが語られる。
運命とは、奇なるものだ。そして、友情とは篤いものだ。

ドラマはある。
時は残酷ではあるけれど、エセル・アンを演じたシャーリー・マクレーンにはそれなりの貫禄があり、ミーシャ・バートンはかなりいい。年を喰ったジャックのクリストファー・プラマー、ピート・ボスルスウェイト(ベルファストの引退した消防士)もかなりいい。
にもかかわらず、どうなんだろう。どうもこうもない。
91年現在のベルファストの状況、エセルの娘との葛藤。46年の時の流れはあまりにも永く残酷だということか...。

観ないよりは観た方がいいけれど、本当はもっともっと盛り上がる名作になるべきお話しではなかったかな...。全くもって素材が良いだけに、本当に惜しいし残念だ。

おしまい。