ダークナイト

バットマンはアメリカそのもの、なのか?



  

うかつなことに、上映が始まってしばらくするまで、この作品が“バットマン・シリーズ”なのだとは気が付かなかった。こんなお客さんもいるんですよ、映画のタイトルにバットマンと入っていなければ...。
では、どうしてこの作品を観ることにしたのか。それは監督がかつて贔屓にしていたクリストファー・ノーランであることと、主演のひとりがヒース・レジャーだから...。
もうひとつ云っておくと、ボクはこの作品で初めてバットマンと正対した。これまで幾本かのバットマン・シリーズの作品が公開されていたけど、古くはマイケル・キートン、ジャック・ニコルソンのシリーズだった観ていない(まぁ、何の自慢にもならないけどね)。

ふ〜む、バットマンとはこういうお話しだったのか...。
なんだかよくわからないものの、とてつもなく大掛かりなセットで巨額が費やされているのは間違いない!のは理解できる。
勧善懲悪という一筋縄ではいかず、誰がいい人で味方で、どの人が悪い奴で敵なのか。一見して色分けはされているのだけど、それを鵜呑みにしてはいけない。スピーディーに物語りは二転三転して、息を付くヒマもなく一気に駆け抜けていく。まさに、アクション娯楽大作として楽しんでしまいました。

単純に何も考えなくても楽しめるのはもちろんなんだけど、振り返って見ても、実に良く出来ている。
“正義”とは一体何をもって“正義”なのか。そして、守るべき対象は一体何なのか...。そんな悩みの深さも織り交ぜられている。ただ、普段こんな大きなスケールのお話しを観慣れていないボクにとっては「バットマンももっと気楽に構えたらええねん」と思わずにはいられない。ここで描かれている姿勢というか発想というのが米国の思想であり発想なんでしょうね、きっと。もっともっとインチメントな些細な幸せを追い求めるお話しの方がボクには性に合っているような気がしました。

バットマンとジョーカー、そしてバットマンと検事。バットマンがとてつもない金持ちで、有能な爺や(秘書?)がいてそれに色恋沙汰も絡んで、子供たちが夢を観るにはいいだろうなぁ...。
ただ、ボクにはそんなこんなに夢を見るには、もう年を喰いすぎてしまったのかもしれない...。
いやしかし。たまにはこんなハリウッドの大作も観ないとあかんね。

クリストファー・ノーランの切れが続いているのかどうかは不明。ただ「インソムニア」よりはずっといいと思います。
ジョーカーをヒース・レジャーが演じているとは、うかつにも気が付かなかった。ボクは「ROCK YOU!」と「チョコレート」「ブロークバック・マウンテン」でこの人と会っているんだけど、その三作に劣らない演技だったと思います。亡くなってしまったのは残念ですね、ご冥福をお祈りします。

おしまい。