ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた

幸せの基準がどんどん変わっているんだな



  

なんとも示唆的なお話しだったなぁ。
全然注目していなかったんだけど、職場から早く帰れそうな晩に京都のみなみ会館で上映されているのを知り、レイトショウへ出かけました。

主人公を演じたケリー・ラッセルという女優さんがいいね。
実に魅力的な演技で、キルスティン・ダンストも彼女(ケリー・ラッセル)のように年齢を重ねれば良かったのになぁ...、なんてことを考えてしまいます。このジェンナがいつも前向きで輝いているから、このお話しもありなんだし、救われますよね。優柔不断な産婦人科医も良かったです。妊婦相手にどうしてあそこまで一気に燃え上がることが出来るのか、いささか疑問ではあるけどね。

片田舎の地元にある小さいダイナーにウェイトレスとして務めるジェンナ。幸せ一杯でイキイキと働いているのかに見えるけど、実はそうではないみたい。
彼女のアタマノ中はいつも新しくこさえるパイのことで一杯。自分の気持ちもいつもパイに置き換えて考えてしまう(それは美味しくなさそうだけど...)。でも、このダイナー、みょうちくりんなネーミングだけど美味しいジェンナのパイが食べられるからいつも流行っている。

仕事が終ると、ダイナーの前でウェイトレス仲間の三人でおしゃべりを楽しんでいる。(アメリカなのに)ジェンナはクルマも無い。旦那が迎えに来てくれるのを待っている。派手なクラクションで登場した旦那、ジェンナを乗せるとすぐに今日のジェンナの稼ぎを巻き上げる...。この旦那、ケチで嫉妬深くて我がままでジコチューで疑り深く嫉妬深い性格ですぐに暴力を振うどうしようもない男なんだとすぐにわかる。だけど、どうしてこんなチャーミングなジェンナがこんな男と一緒に居る必要があるんだ? 
「すぐに別れなさい!」
きっと彼女もそう思っていたところ...。世の中上手く出来ていて、ジェンナは自分の体調の変化に気が付く。どうやら妊娠しているみたいだ。あ〜これからの私の人生はいったいどうなるの? 暗い思いで地元にある、自分も取り上げてもらった医者に出かけるが...。

世の中、何があるかわからないし、意外とどうにでもなるものかもしれないね。
臨まない妊娠は、決してティーンエージャーだけのものではなく、いろんな意味で世界に羽ばたいていたり、羽ばたこうとしている女性にとっては致命的な足枷になってしまうのかもしれない。このジェンナの場合もそうだったのかな。でも、結婚とか妊娠とか出産という女性にとっての節目になる出来事。それらが決してマイナスばかりではない(かもしれない)とジェンナが教えてくれます。
脇もいい。ウェイトレス仲間二人、シェフもそうだし、飛び切り上出来なのはダイナーのオーナーだったのかもしれませんね。

こうやって思い出すと、ハッピーエンドという概念、今と昔では本当に大きく変わってしまった。価値観の多様化などという言葉ではなく、幸せの概念そのものが変わったんだな。ハッピーエンドだけではなく、パイそのものへの概念も少し変わったかな。米国ではそんなにメジャーな食べ物なのかな? あんな賞金が出るコンテストもあるみたいだしね。ボクはこの後、ブルーベリー・パイも食べなくっちゃいけないしね...。
特に女性にオススメ。こんな男と結婚しちゃ駄目だけど、もししてしまっても諦めたら駄目。それに、子供が出来たからって諦めても駄目なんだね。

おしまい。