長江哀歌(エレジー) |
これは天啓か、それとも気まぐれだったのか |
ジャジャンクー監督の映画。「世界」は観逃してしまったけれど、その他は何本か拝見している。正直に評価すると、わからなくはないけど、メリハリがなくて、唐突に終わってしまう、割と饒舌で独善的な作品を撮る監督だと思っていた。その割には世界の評価は高くて、香港・ベルリン・ヴェネチアで賞を取り続け、とうとうこの「長江哀歌」ではヴェネチアで金獅子賞を受賞してしまった。 結論から言うと、ずいぶんと枠に嵌ってきたというか、商業映画らしくなってきた。それでも、まだまだ説明不足な部分も多いけど。でも、これ以上矯正すると、ジャジャンクーらしさ(何が“らしさ”なのかはわからないけど)がなくなってしまうかもしれない。
世界的な規模の工事だという三峡ダムの建設が進む長江(揚子江)の流域にある街・奉節が舞台。
「烟」「酒」「茶」「糖」というタイトルとキーワードで章が分けられているものの、実はたいしたこともおこらないままにお話しは進んでいく。
ボクがTVの画像を通じて知る中国は、五輪の準備が進む北京の街角であったり、デモ隊が進む上海であったり、買い物客が殺到して事故が起こる成都のスーパーのフロアであったりするのだけれど(まぁダンボールのブタマンもあったけど)、実はそれは中国のほんのひとつまみにしか過ぎず、中国にはいろんな捉えきれない姿があるのだな。
年配のお客様を中心に30人ほどの入りでしたが、その中の何人がこの映画を観て満足されたのかは、ちびっと謎ですね。 おしまい |