黄真伊/ファンジニ/Hwang Jin Yi

立ち上る色香、ソンヘギョ



  

こういう古典モノを観るときは、基礎的な教養というか、生まれ育ってこそ知っているバックボーンがものを云う。すなわち「誰もがあらすじ程度は知っているはずだ」という前提に立って物語りが展開されていく(背景の説明などはほとんどされない)。しかし、悲しいかなボクにはそういうものが無い。おまけに日本語字幕も付いていない(当たり前だ!)ので、正直言って大混乱の中での鑑賞となりました(とほほ...)。
本の少し前に、ハジウォンが主人公のファンジニを演じたTVドラマが大ヒットを飛ばしたそうだ。ハジウォンも本当に綺麗な人だもんね。今回のこの映画では「僕の,世界の中心は,君だ。」のソンヘギョが主演。ソンヘギョだってハジウォンに負けないだけのルックスの持ち主(単身街へ繰り出して地回りのヤクザに絡まれてしまうシーンなんぞでは、思わず助けに行きたくなりました、はい)。

出生の秘密や身分の差など、韓流ドラマでお馴染み(?)のドロドロとした伏線が絡み合ってお話しが展開される(いや、されていた“らしい”)。
この映画で何が一番わからなかったと云うと、ユジテ演ずるノミの存在だろう。
冒頭のシーンで幼いファンジニの手を引いたこれまた幼い子守役のノミが街の縁日に出かけるのだが、手を離したスキにはぐれてしまう。結局、ファンジニは大人に発見され、事なきを得るが、当然ノミは叱られ、鞭打たれる。ファンジニの懇願で助かったものの、この事件がきっかけとなりノミはお屋敷から追い出されてしまう...。
が、この幼いノミ。どうみても女の子にしか見えない! 後日、成長したノミが屋敷を訪ねて来て物語りは大きく動き出すものの、ユジテがあの子守の女の子だとは思えない(もちろん、ボクのアタマの中は大混乱だ)。

しっかり物語りを追って楽しむことも必要だけど、こういう込み入ったお話しはちょっとムリ。
だから、ファンジニの度胸が据わった女っぷりと美しさ(衣装も含めて)を楽しむのに限ります。でも、このお話しを「ファンジニ」というタイトルにするのはどうでしょう? よく理解していないボクが言うのもなんだけど「ノミの物語り」とでもする方が良かったのでは?
いずれにせよ、そう遠くないうちに日本でも上映されるチャンスはあると思います。その際には、しっかり物語りを下調べしてからご覧になられたらいいと思います。結局、「ファンジニ」という時代小説に、ユジテ演じるノミを膨らませたお話なんですね、この映画は。

もし、現地で日本語字幕ナシの状態で観る初めての映画にこの作品を選ばれてボーゼンとされた方がいらっしゃったとしても、全く問題ありません。これはわからなくて当然ですから。日本での上映を待って「そうやったんか!」と膝を打つのでOKです。これに懲りずにどんどん挑戦して下さい。

ソウルの街では、時代衣装をまとったハジウォンの特大ポスターがガンガン貼られていました。それも頷けるほどの色香が漂っていました。ハジウォンの次回作が楽しみです。

おしまい。