フライ・ダディ

イムンシクに胸を熱くする!



  

密かに、ボクが韓国男優No.1だと思っているイムシンクが出ているし、「王の男」でスターの仲間入りをしたイジュンギが主演。ソウルで何度か予告編も観ていた。
原作も読んでいないし、先に映画化された日本版(監督:成島出、主演:岡田准一、堤真一)も拝見していないけど、楽しみにしていました。
それにしても、公開からしばらく過ぎていたとはいえ、心斎橋のビッグステップにあるシネマートの入りは淋しい。ロビーにあふれんばかりにいた方々はみんなリバイバルの「JSA」を上映するスクリーンに吸い込まれていったのは、何ともフクザツな気分でした。

このお話し。実は、韓国映画ファンとかイジュンギのファンだけではなく、世の中のお父さんに観てもらいたかったな。
毎日毎日、満員の通勤電車に詰め込まれて、上司や客先で厭味を言われながらクタクタになるまで働いているのは何のためなのか? そんな素朴で根源的な(?)理由を忘れそうになっているお父さん。この映画を観て、元気を貰おうよ。いや、頑張る目的を思い出そうよ!

思い起こせば「公共の敵」でたこおやじ演じていたイムシンクに始めて会ったときは、こんなに芝居が出来るとは思っていなかった。単なるその他大勢としか認識していなかったのに、いつの間にかすっかり大物になった。そして、彼のいいところは、等身大のイムンシクに、情けないおっさんであるボクの姿を無理なく投影できるところなんだなぁ(きっと)。
情けないチンピラが最も似合うと思うけど、いやらしい新聞記者、おちゃめな僧侶、裏も表もある刑事などなど。二枚目以外はどんな役でもこなしてしまう。
そして、今回のこの家族を愛しているのに何も出来ず無力感に苛まれる父親チャンガ(チャンガピル)。まるで、イムンシクのためにあるような主人公であり、お話し(この役を堤真一がどんなふうに演じたのかも少しは興味がありますね)。ちびっと気になったのは、チャンガの奥さん(イヨンス)が若くてかわいすぎる(?)ところかな。

メインのストーリーから少し離れるけど、バスの運転手(ペクソンギ)が、実はものごっついいい味出している。最初は伏線が理解できなくて、アタマの中で「?」が点滅していたんだけど、しっかりオチがついていて、微笑ましい。そうだよ、誰でも頑張れば結果が出るんだよ(まぁ出ないこともあるけど)。
他にも、学校の先生、屋台のおやじは見たことある人だし、ちょい役でアンネサンもちらっとね。ワンちゃんも少し隠し味でした。
ボクシングチャンピオンのお兄ちゃん(イジュ)って「拳が泣く」でも少年院のチャンピオンやっていた青年かと思ったんだけど、調べてみると違う人(キムスヒョン)でした。

ラスト。どうやってチャンピオンとケリをつけるのかと思ったら、なかなか見事でした。
しかし、イジュンギがちょっとかっこ良すぎるかな?

まずまずのオススメ。
一人でも多くのくたびれたお父さんにご覧になっていただきたいですね(ちょっと路線は違うけど「お父さんのバックドロップ」もいいよ!)。
実は、ちびっと涙腺がゆるんでしまいました。ボクがチャンガのような立場に置かれたとしたら、家族を守るためにチャレンジするんだろうか。それとも諦めて、受け入れてしまう(泣き寝入り)のだろうか...。

おしまい。