暗いところで待ち合わせ

タイトルがいいね



  

岡山で映画を観るのは10年以上前の年末に「寅さんシリーズ」を拝見して以来だと思う。表町商店街をず〜と南に下ったところにある松竹系、えらいクラシックなつくりのスクリーンだったような...。お客さんもかなり入っていたと記憶している。
今回は、岡山で頑張っているミニシアター“シネマ・クレール”。なんと二館もあるのだから立派ですね。記憶の中の岡山の街並みをたぐってみても「こんなところに映画館なんかあったんかいな?」と思ってしまうところにあるのが今回お邪魔したシネマ・クレール石関。もういっこはシネマ・クレール丸の内、こっちもボクの記憶には存在しない(今回は前も通っていないから、次回以降のお楽しみです)。
しかし、青春18切符で岡山へ映画を観に行くとは、酔狂と言おうか、何と言いましょうか...。

「暗いところで待ち合わせ」は乙一という人が書いた同名の小説の映画化だという。ボクはこの作者の本は全く読んだことがない。それどころか、なぜか「五体不満足」の著者・乙武洋匡だと思い込んでいた。共通しているのは『乙』という文字だけなに、ホント思い込みとは恐ろしいものだなぁ。
予告編だけは目にしていた。なっちゃんこと田中麗奈と「藍色夏恋」「五月の恋」ほかこのところ日本との合作にも出まくりの台湾のチェン・ポーリンが主演することは知っていた。気が付いたときは、もうレイトのみの上映になっていて、あらあらと思っていたら関西では終了してしまった。まぁ、こうなったら、汽車に揺られて観に行くしかないよね。その割には同じ顔合わせの「幻遊伝」はきっちり観逃してしまているけどね...。

お話しそのものよりも、田中麗奈の年齢不詳のかわいさにうっとりというか参ってしまった。この人は、原田知世のように幾つになっても透明感がある女優さんでいてもらいたいな。

後天的な視覚障がいを持つ人にとって、みちる(田中麗奈)の世界はリアリティのあるものなのかはわからないけど、お話しの設定そのものは奇抜でよく考えられていると思う。
そんな生活の中に入り込んでくるのが、チェン・ポーリンと佐藤浩市と井川遥。ちびっとだけ出てくる岸辺一徳の存在感も凄いし、あんなやらしい役もこなしてしまう佐藤浩市は“さすが”としか言いようがない。

結局、お話しの筋を追うのもいいけれど、視覚障がい者の問題、言葉がなめらかではないが日本名と日本国籍を持つ青年が置かれた立場と環境。いわゆる“フツーではない人”に対するフツーな人が取る言動。これはいかに大きな偏見と問題を孕んでいるのかということだ。そういうオピニオンを素直に受け止めて、微力ながら今後のボクの行動への戒めにしたいと思った。

タイトルがいいね。
気楽に観てもいいし、問題を考えるために観てもいい。中学生以上の方なら楽しんでご覧いただけると思います。

おしまい。