unknown アンノウン

廃工場に残されたおっさんたちは...



  

ちらっと予告編を見たときには、以前拝見した「メメント」のような雰囲気を持っている作品なのかなと思った。実は、そのまま忙しさにかまけてすっかり忘れていたら、レイトショウのみだけど、結構ロングで上映されているのを知り「こりゃ、ボクのために続映されているんや」とばかりに、とある夜にのこのこと出掛けて行きました。最近はすっかりレイトで観る根性をなくしているしなぁ...。

設定がいい。
砂漠に取り残された廃工場。ここに5人のおっさんが倒れている。
まず、どうしてこのおっさんたちが倒れているのか、そしてこの5人の関係はどうなっているのか。
その謎解きがこの映画のテーマになる。

しかし、俳優にとって前作などで植え付けられてしまったイメージというものは大きい。
バリー・ペッパー。個性的な顔立ちでなかなか忘れられない。この人のイメージが形成されているのはもちろん「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」での国境警備員。特にワル役でもなかったんだけど、どう見てもバリー・ペッパーはいわゆる“いい人”役を演じる顔ではないと思うのだけど...。
グレッグ・キニア。このおっさん、どこかで見たけど思い出せないなと苦しんでいたら、やっぱり。「リトル・ミス・サンシャイン」で突っ走るおとっつぁんやった(すっきりした)。

設定が面白い割には、正直言って期待だけが大きくなって、お話しそのものはどうも“う〜ん”となってしまうのが惜しい。
外部との接触や、外部でのエピソード展開はもっと最小限にとどめておいて、この閉じられた空間に置かれた5人の男たちの葛藤を克明に描くことに集中した方が良いのではなかったか...。
だからなのか、感動とか“スカッとした”というところまでこの映画が昇華できなかったんだと思う。やっぱりクリストファー・ノーランのような作家はそうそう現れないということか。もっとも、クリスタファー・ノーランもメジャーに進出してからどうもパッとしないようだけど...。

しかし、面白くないわけではなく、設定が生きているので、謎解きに重きを置くのではなく、アクション作品として観れば、そこそこお楽しみいただけるのではないでしょうか。

おしまい。