リトル・ミス・サンシャイン

よ〜し、今からコンテストに出てやる!



  

難しいお話しではないけれど、面白いお話しでもない。特に感銘も受けなかったのは、ひょっとしたら、ボクの感性が磨耗しているからだろうか?
米国のどこか田舎。フーヴァー一家は夫婦に子供が二人、そして夫の父親が同居している。外見だけなら、どこにでもある家庭の風景。そこに奥さんのお兄さんが加わることによって、ふと波風が立ちはじめる...。いや、実はこの兄が加わらなくても、不安定ながらもどうにか均衡を保っていたこの家庭は、時の経過か、何かのきっかけで一気に崩壊したのかもしれないなぁ...。

非行が原因で老人ホームを追い出されたおじいちゃん。「勝ち組」になる独自のノウハウが詰まった本を出版しようと野望に燃える実は「負け組」(?)のお父さん。とにかく家庭が一番の最もまともなお母さん。夢破れ自殺を試みたおじさん。空軍のテストパイロットになることを夢見て何故か一言も口をきかず、筆談を貫くお兄ちゃん。そして、健康的だけどちょっぴり太目の幼稚園児、実はミスコンで栄冠を射止める野望に燃えるわたし。この一家が主人公。

予選で破れ夢がついえたかに見えた子供対象のミスコン「リトル・ミス・サンシャイン」。なんと州代表の女の子が辞退し、オリーヴに出場権が巡ってきた!
オンボロのワーゲンのバスに一家の6人全員が乗り込み、コンテストが開かれるカリフォルニアまで一路出発! 果たしてカリフォルニアまで無事に辿り着けるのか? コンテストの時間には間に合うのか?

個性が強いバラバラのこの6人。実は最後の最後までバラバラなままなんだけど、この旅を通じて成長する。旅は人生そのものなんだな。それとも、人生は旅そのものなのかもしれないけど。
ひやっとしたり、にやっとしたりするエピソードをかませながら、オンボロ・ワーゲンは西へとひた走る。
そんなアホなと思いながらも、一つの命題(コンテストに出場すること)がどかんと存在しているので、どうにかお話しは脱線せずにカリフォルニアへ向かいます。
しかし、あのコンテストの内容には、ただただ驚かされます。こんなコンテストに血眼になる親って一体...。
ラストも大円団とは程遠いのだけれど、何故か心が温かくなる。実は、そんな不思議なお話しなのです。

ボクは道中でのエピソードが気に入ったわけではないのだけれど、とても上手いと思ったのが各人の内面に抱える問題点を、観ているボクに明らかにしていく手法が上手だと思いました。
トニ・コレットの性格が弱いのが惜しかったかな。でも、彼女まで強烈だったら、この家庭はカリフォルニアまで行くまでもなかったか...。

楽しめる人にはとことん楽しいお話し、でも受け付けない人もいるかも...。
ロングで公開中、今からでも梅田と三宮のシネ・リーブルで上映中です! 急げ!

おしまい。