とかげの可愛い嘘

かわいいウソは、悲しいウソだったのね



  

「う〜ん。こんなお話しだったのね」 御伽噺をおとぎばなしのままにしないで、大人の世界にまであてはめてしまった、ちびっとムリがあるお話しになってしまった。

この映画のことを耳にしたり目にしたりしていたのはずいぶん以前のことで、その際も映画やストーリーのことよりも“実際のカップルが、映画でも恋人役を演じている”という話題のみが集中していたような...。だから、実際にどんなお話しなのかは全くしらないまま、元日の昼下がりにのこのこと心斎橋まで出かけて行ってしまった...(もう随分と前にソウルでDVDは買っていたのに、例によって封は切らないまま...)。

凄い言い方をしてしまえば、この映画を普段あまり映画やTVドラマを観ない方がご覧になると、ググッとハートを掴まれるかもしれない。でも、様々なドラマに慣れてしまっている(感性が鈍っている?)方の場合は、ひょっとしたら“食傷気味”のネタだったかもしれない。
もう一つ、ヒロインのアリの子供時代を演じるビョンジョヨンと大人のカンヘジョンの落差が...。カンヘジョンは押しも押されぬスタア(ボクは特に「トンマッコル」の純真な彼女が好き)なんだけど、そんなカンヘジョンの存在がかすんでしまうほど子役(ビョンジョヨン)がいいんだなぁ。もちろん、奇抜(?)な衣装の影響も大いにあるんだけど。
いいなと思ったところは、個人的な好みの問題だとは思うけど、チョスンウがいいことかな。彼は「下流人生」で見せた大人の役よりも、このお話しや「クラシック(ラブストーリー)」で演じていたような、ハイティーンや20代前半の純真な青年の役が凄く似合っている。裏とオモテがあってそれを使い分けるよりも、ウブで一直線なジョガンの役がいいんだなぁ(おまけに言うとジョガンの子供時代を演じる子役は、まずまずの普通、この子もビョンジョヨンに完全に喰われている。どっちかと言うとお父さん・カンシニルの若作りに驚いてしまう)。

お話しは、どこか謎めいた妙な感じで、まさにおとぎばなし。
どこか田舎のお寺、雨が降ってるわけでもないのに、黄色いカッパで身を固めた女の子が出てくる。この謎の女の子アリが学校へやって来るところから始まる。彼女が隣の席に座ることになったジョガン、少しずつこの不思議な女の子に興味を持ち始めるのだが...。
やがて時は流れ、大学入試を控えたジョガンは突然アリから連絡を貰い、夏休みをアリが住むお寺のお堂で一緒に勉強をして過ごす。
そして、銀行に就職したジョガン。彼が座る窓口に突然姿を現したのがジョガン。夕食を共にしただけで姿を消してしまう。
一方的に現れては姿を消してしまうアリに思いを募らせるジョガンだがどうしようもない。そんな時に同僚が入院した病院に見舞いに行ったジョガンは、アリに良く似た女性を見かける...。

あらすじを追うだけでは、面白くともなんともないんだけど、心にフックを打つちょこっとした仕掛けが随所にちりばめてあり、それなりに楽しめて、またうっとり出来るような仕掛けになっています。だから、この映画がご覧になった方によっては“心に残る作品”の上位にランクされても不思議でもなんでもない。
出来れば「ユア・マイ・サンシャイン」とセットでご覧になるのもいいかもしれません。

いい年をしたおっさんが一人で映画館で観るのはとんでもないことで、仲の良いカップルが寒い冬の夜に肩寄せ合いながらソファに座ってDVDで観るのがいいのに決まっています。もっとも、現時点ではDVDもビデオもまだ出てないか、どこかで探せばスクリーンで再映されることもあるでしょう。

アンニョン!