君は僕の運命/ユア・マイ・サンシャイン

そんなソッチュンにボクは感動してしまう



  

このところ韓国の作品ばかり観ているような気がするけど、もう一度韓国の作品。
改めて言う必要もないだろうけれど、「韓国映画」というジャンルがあるわけではなく、韓国映画でもさまざまな作品がある。だから、いいお話しもあれば、もちろんもうひとつの作品だってある。ハリウッドの作品だからどれもこれも面白いわけではないのと同じ。

「ユア・マイ・サンシャイン」という邦題ではなく「君は僕の運命」という原題の方が耳にいい。
2005年の暮れにソウルへお邪魔したときにタッチの差で上映が終わってしまったため、現地では観ることができなかった(一部では続映されていたようだけど、ボクのアンテナには引っかかってこなかった、悔しかった)。
それでも、ようやく日本でも公開され、それも上映が終了する最後の日の最後の回に滑り込みで拝見してきました。

いい。ごっつい、いい!
何がいいって、ファンジョンミンがいい。チョンドヨンだって素晴らしい演技だけど、ファンジョンミンが、今までの彼の中でずば抜けていいからかすんでしまいそう。間違いなく、後世にまで語り継がれる芝居を見せてくれている(ちょっと、褒めすぎかな?)。
今まで、そんなに注目していたわけではなく、キムサンギョンと勘違いしていたほどだった。だから、この映画を観るまで、先日拝見した「私の生涯で最も美しい一週間」で演じていた刑事そのままのような印象を持っていたけれど、見直した。
お話しそのもののベースは「ウエディング・キャンペーン」と全く同じ。だから、ファンジョンミンはもろにチョンジェヒョンとダブっているわけだけど、互角かそれ以上。
オマケみたいになるけどナムニ(ソッチュンの母親)、リュスンス(ソッチュンの親友)もいいです。特にナムニって、いるだけで画面を締めてくれますね。

韓国でも農村部での嫁不足は深刻。そんなスタートラインは同じ。でも、ソッチュン(ファンジョンミン)が向かう方向はもちろんマンテクとは違う。その目は外国(ウズベキスタン)へ向かうのではなく、偶然通りすがりに見かけたスクーターに乗った女性(チョンドヨン)にクラクラとしてしまう。
この女性ウナは、村にある喫茶店に女給(なんちゅう古い表現や!)として雇われている。どうやら、ソウルから来たらしい。彼女の本当の仕事が何なのかはうすうす知っているけれど、そんなことはお構いナシに猛烈にアタックする(こんな情熱と行動力があればすぐに彼女だって出来たような気もするんだけど...)。
そんなソッチュンのアタックを軽くいなしていたウナ...。
そんな彼女も腹をくくって、一転して良き妻、良き嫁となるが...。

映画の中ではいろんなカタチで人々の愛を見せてくれる。その中でも圧倒的に多いのが男女の間での愛。自分でも体験出来る(かもしれない)愛もあれば、自分ではとってもムリな愛を見せてくれることもある。この映画の中でソッチュンが示す愛のカタチは間違いなく後者。
ボクには彼のような行動が取れるわけがない、そんなことはわかり切っている。だけど、ソッチュンはそれこそ、猪突猛進で突き進む。だから、そんなソッチュンにボクは感動してしまう。
バカかもしれない、でも自分が信じた愛に向かって一直線に突き進む男の姿は“美しい”のです。
最初は、チョンドヨンが出ているとか、エイズを扱った悲哀ものとして、耳にしていたそのままのつもりで観始めたんだけど、なんのなんの。そんな狭いジャンルでこの作品を捉えるのはもったいない。枠を超えた美しいお話しでした。

地味なプロモーションで、関西ではOS劇場でひっそりと公開されただけ(三宮と和歌山で公開されてます)。
でも、本当は一人でも多くの人にご覧いただきたかった。そんな素敵なお話しです。恐らく、今後もスクリーンで上映されるチャンスはあると思います。ごっついオススメ!
ソッチュンとウナにボクのハートは打ち抜かれてしまいました。

おしまい。