嫌われ松子の一生

いいねぇ、伊勢谷友介の声!



  

今年もたくさんの映画を観逃してしまっている。あかんなぁ。「明日の記憶」もそうだし「嫌われ松子の一生」も...。しかし、観逃していても、縁があればいつかスクリーンで出会えるものだ。どうしても出会えなければ、それはそれで縁が無かったと諦めるしかない(それとも、その縁を求めて西へ東へ...?)。
たまたま、セルシーシアターへ出かけると、お目当ての大陸作品「愛さずにいられない」に引き続き「嫌われ〜」が上映される。う〜む、こういうのもつくづく縁やねんなぁ。

だいたいどんなお話しなのか、その輪郭は知っているつもりだった。でも、いつかは観るつもりだったので、その情報にはなるべく触れないでおこうとしてきた。

で、観終わって一発目の感想「伊勢谷友介ってええ声してんなぁ!」

もちろん、主演は中谷美紀で、まるで彼女のワンウーマンショウなのはわかっている。でも、ボクは男ながら伊勢谷友介が良かった。彼はこんなにかっこええ役者さんだとは知らなかったなぁ。

大ヒット(?)した作品だし(職場の若い女の子たちも、封切りそうそうに観に行っていた)、いまさらここでストーリーをボクが紹介したところで仕方ないでしょう。
この映画の面白いところは、暗さがないところでしょ。普通に考えれば(香川照之に語らせれば)、悲惨で陰惨。もう忘れてしまいたい“蒸発して縁を切った姉”の話しなのに、それが、甥っ子(叔母についてほとんど何も知らない上に、人生に絶望しかけ、ある意味良く似た境遇に立っている瑛太)というフィルターを通して偶像として現れる松子は、追いかける対象として面白かったはずだ。暗さをはねのけるための小道具が、目一杯の花やサイケな壁紙や衣装、それにアニメ。なかなか上手にこさえてある。
いやいや、やっぱり大切なのは、ある意味、底抜けで楽天的(なように見せている)松子のキャラクターなのでしょう。あのひょっとこのような顔、中盤以降に出番がなかったのが残念!

ボクでも知っている顔が随所に出ていて、脇が濃いのも特長のひとつかな。この辺は製作にTV会社が控えている影響力なのでしょうか?
スカパラの谷中なんて顔を見るのは久し振り(もっとも、彼はずっとサングラスをかけていて、ほとんど顔は見えなかったけど)。ウズベキスタン(!)に行ってしまう彼女が柴崎コウだったとは、エンドロールを見るまで気が付かなかった、しかしどうしてウズベキスタンなんだ! その他にも豪華なメドレー。

刑事が持ってきた写真だけでは伊勢谷友介だとは気が付かなかった。AV社長(黒沢あすか!)の回想シーンでアパートから飛び出してくる兄ちゃんの声にしびれ、時を置いてもう一度今度は松子の回想で成長した教え子として美容室で再会するシーンでもわからなかった「誰やねん、このええ声は!」。
同棲するようになってようやく「あヽ、そうか」とようやく彼の名前を思い出した。
いやはや、ほんまに声がいいねぇ。しびれます!

梅雨頃に公開された作品を師走を目前にした今頃になって拝見してオススメするのも気が引けるのですが、なかなか面白い良く出来た作品だと思います。
中谷美紀の七変化(!)を楽しむというよりも、伊勢谷友介の凛とした声をお楽しみください!

おしまい