キンキーブーツ

ノーサンプトン発ミラノ行き



  

もうチャンスはないのかと思っていたけれど、東京では上映する劇場を切り替えて続映されていた、朝一番だけのモーニング・ショウだけど。シネ・アミューズはあまり得意なスクリーンではないけれど、こうして考えると縁があるのでしょうかね。

ウィングチップ。ボクも随分前に買ったものを何度か底を張り替えて大切に履いている。もっともここ数年は、スーツを着る機会が激減しているから、このウィングチップを履くのは年にほんの数度しかない。それは何もボクだけではないようで、靴を一生モノとして購入し、大切に履いている人は世界中で減っているみたいだ。仕事用の靴もプライベートで履く靴も、どちらも価格破壊が進んでいるからね〜。

英国の片田舎(?)で製靴工場プライス社を営んでいる一家に生まれたチャーリー(ジュエル・エドガートン)。家業は父親に任せ、自分には関係ないと思っていたが...。
本業が傾き、経営に興味がない息子がロンドンから呼び戻され、会社を整理しようとするうちにどんどんのめりこんでいき、挙句に起死回生、一発逆転の大博打に出る。最初は非協力的だった従業員たちも一つにまとまる。勝負に出たミラノの展示会は成功するのか!
全く! 予想通りにお話しは進んでいくのに、ぐいぐいと心が引っ張られていくのはどうしてなんだろう?

ロンドンの裏街。何人かの若者に囲まれている女性を助ける。いや、助けようとしたけれど、返り討ちにあって気を失ってしまう。
物語りの語り部としての上手さが随所に輝き、2時間弱、興味を失わないまま観続けてしまう(もっとも、ちびっと中だるみがないわけではないけど...)。まぁ、大いに脚色されてはいるのでしょうが、実話がベースなだけに興味深く、そして成功するのに決まっているのに、どうしてもハラハラドキドキしてしまう。

どこまでも腑抜けで、情けない印象を与えるチャーリー。決して美人ではないけど、どこかチャーミングで魅力があるローレン(サラ・ジェーン・ボッツ、彼女は今後どのように化けるのか楽しみのようで、不安なような...)。そして、男の姿になるとどこか自信なさげな頼りない青年であり、夜になると大変身するローラにキウェテル・イジョフォー(この人、調べてみると「堕天使のパスポート」のお医者さん役だったのね!)。
この3人が実にいい味を出していて、エンディングのミラノのステージに結びつく...。

安心してとは言えませんが、充分お楽しみいただけるお話しだと思います。来春にはDVDも出るようです。

おしまい。