グエムル〜漢江の怪物

どうして韓国で大ヒットしたのか、その理由を知りたい



  

この映画「グエムル」の前売券を劇場窓口で購入すると、先着でグエムルのミニチュア人形が貰える。別に欲しくはないけれど、ついつい買ってしまった。そして、何かと忙しくてとうとう三番街シネマでの上映は終了してしまい、あの気持ち悪い人形、実質は1,300円もしたのかと思うと、それはそれでかなりもったいないことをしてしまったと、深く反省...。
もう日本語字幕付きでは観れらないのかと観念していたら、まだ東京ではやってくれてました。東京でも最終日の最終回。ギリギリセーフ。

どうしてこの作品が日本では大ヒットに至らなかったのかを考えるよりも、どうして韓国で大ヒットしたのか、その理由を知りたいと思った。
もちろん、日本よりもずっと大衆の視線が映画に向いていて、映画館で映画を観ることが娯楽として定着している。だから、1000万人突破などという、日本では全く考えられない数字を叩き出してしまうのだけど、そんなことだけでは説明が付かない。一体何が観たくてこんなに多くのお客さんがスクリーンに足を運んだのだろう?

庶民に近い、割と等身大に描かれている家族。その一家が突然の不幸に見舞われる。そして、権力からもそっぽを向かれ、自分たちだけで解決(救い出)しようとするために、怪物<グエムル>に立ち向かう。そのけなげな姿、家族愛に心を打たれたのかな?
ソンガンホは全くのダメダメオヤジだし、パクヘイルも大学は出たものの就職浪人だしね。もちろん大金持ちでもなし(新しいケイタイを買うのに、カップ麺のカップにコインを貯めているのは何か妙にリアリティがありますね)、権力にだってほど遠いしね。
でも、諦めない。屈しない。

もう一つは、何にせよ頼りなくて一貫性がない時の権力者(=大統領?)を遠まわしに揶揄しているのかもしれない。政府が言っていること、広報していることだけを鵜呑みに信じていてはいけないのだと訴えているのかもしれない。
ウィルスだの伝染病だの言っているけど、あれだけ大掛かりに消毒薬を散布するんだったら、その前に捕獲作戦とか掃討作戦を実施すべきではないのか?
あげくに、散布車にさえ載っていれば、検問だって一発で通過できてしまうんだから...。おまけに役人からは賄賂を要求されるんだから始末が悪い。

さらに、都会にはなんだかんだと言っても、死角がたくさんあるということ。
家出した少年たちは河川敷を歩き回っているし、グエムルはソンガンホの娘を人知れない場所に留置(?)しているし、ソンガンホやパクヘイルだってまんまと逃げ出したまんま。
幾ら権力側がやっきになっても、必ず抜け道や隠れ場所はどこかにあるんだな、きっと。

ボクがこう考えたヒットの理由はそれなりだろうけれど、それらはやっぱり“それなり”に過ぎず、ボクには理解できない。
そのせいなのか、やっぱりなのかはわからないけれど、残念ながら日本での興行成績は、もうひとつでしたよね。それなりに広報活動をして、大々的に公開したにもかかわらず...。でも、なんだか、日本でヒットしなかった理由もわかる(ような気がする)。
「日本で大ヒットする理由がなかった」それが最大の原因ではないでしょうか?
じゃぁ、もうすぐ公開される「王の男」はどうなんでしょう。こちらも、ちびっと心配ですね。

最終回ということもあってか、この晩のユーロスペース70〜80名ほどは入っていて、思ったよりも盛況でした。はい。

あんにょん!