深海 Blue Cha-Cha

当たり前だけど、堤防には終わりがある。



  

どうやら、この時期、東京の映画館は「ミニ台湾映画祭」だったみたいで、企画されていたのかどうかは知らないけれど、何本も台湾映画が上映されていた。こりゃ、観るしかないでしょう。
まず、新宿武蔵野館で「深海 Blue Cha-Cha」。入りそのものは淋しいけど、まぁ、こんなものでしょう。アイドルも出てないしね。

まるでこの春に東京で観た「ウォ・アイ・ニー」のような。そんなバランスを崩してしまった男女の間の人間関係が描かれている。ただ、今回は男女間というよりも、ほぼ一方的に女なんだけど...。
「ウォ・アイ・ニー」はボクには幼稚で理解に苦しむようなストーリーが展開されるのだけど、今回の「深海 深海 Blue Cha-Cha」は、阿玉(ターシー・スー/蘇慧倫)の気持ちがわからなくはないだけに、まだ少しはマシかな(いや、やっぱり、わからないか?)。

舞台は台湾の高雄(“たかお”ではなく“カオシュン”ね)。
刑務所を出所した美しい女性・阿玉。彼女が高雄の市街地から連絡船で結ばれている島にある長屋を訪ねて行く...。そこで彼女を待っていたのは刑務所で知り合った(?)おばさん。このおばさんは近くで飲み屋を経営していた。阿玉はその晩からお店で働くことに...。

詳しいことは観てのお楽しみなんだけど、ボクが最も印象に残ったのは、ラスト近く。
港にやってきた人形劇の一座と交わされたほんの数時間にすぎない交流。去っていく一座が波を蹴立てる船...。本当はこの一座と一緒に行った方が良かったのではないかなぁ。いやいや、堤防の上を叫びながら、走りながら、船を追いかけていくその姿にこそ意味があるのか。
海には果てがない、どこまで行ってもそこは海の上。でも、夢中で駆ける堤防はどんなに夢中でも、どんなに速く走っても、いつか、いや、すぐに終わりを迎えてしまうのだなぁ...。

ターシー・スー(蘇慧倫)って、アイドル歌手ではなかったかな?と思ってたらやっぱりそうだった。いつの間にかこんなお芝居も出来る女優さんになったんだなぁ。知らなかった。

誰が観ても面白いかどうかはわかりません。
ボクは嫌悪感は覚えなかったけど、ある意味非常に疲れてしまいました。
この映画が日本でも公開される理由、ターシー・スー/蘇慧倫ではなく彼女の相手役のリー・ウェイ/李威の人気なんでしょうね、きっと。もっとも、彼はもう一つ煮え切らない役だったけどね。
関西では、11/4から九条のシネヌーヴォで公開されるようです(同時に「中国映画の全貌2006」も11/4からです)。

おしまい