プルートで朝食を

ボクとは上手く噛み合わない



  

ボクにはなんだかよくわからなかった。
センセーショナルなのではなく、浮ついたところがなく、地道に、そして丹念に撮られていることは伝わってきたけれど、結局ボクには馴染めなかったし、共感できなかった(ということだろう)。だから、感情移入も出来なかった。
でも、確かにホロッとさせられたのも事実。
それに、まるで短いセンテンスを並べたような仕立てで、これが、漫画のようで意外といいアイデアだなと思いました。

アイルランドのとある街。ある朝、バスケットに入れられた赤ん坊が協会の裏口に届けられた。
その赤ん坊こそが、この映画の主人公・キトゥン。彼は成長するにつれ、自分が普通ではないことを自覚し、さらには自分の本当の母親を探しにロンドンへ旅立つ...。

結局、幸せとはその人が持つ価値観によって大きく左右されるんだな。そんな当たり前のことが、当たり前のこととしてよ〜くわかった。そして、人生の目的は、産みの母を捜し出して劇的な再開をすることではなく、今の自分をどう幸せに生きるかなんだとわかった。

「Vフォー・ヴェンデッタ」でいいなと思ったスティーブン・レイがここでも奇妙な役回りで好演。
でも、この映画で本当に輝いていたのは、キトゥンの友人役のチャーリーを演じていたルーズ・ネッガという人ではないでしょうか。彼女は今後も注目していきたいです。
また、音楽がいいのね。70年前後の曲を集めているそうだけど、なんか久し振りにサントラ買ってもいいかなぁ、なんて思いました(まだ買ってはいないけど)。

ちなみに、タイトルにもなっているプルート(Pluto)は冥王星のこと。ボクがこの映画を観てから、この冥王星は一躍注目を浴び、そしてとうとう太陽系の13番目の惑星から、、「dwarf planet」(矮惑星または矮小惑星)へ格下げ(?)されることに...。なんとも、タイムリーな出来事(?)でした。

悪いお話しではないけれど、確かに観る人を選ぶタイプの映画だと思います。
興味がおありでしたら、一度お試し下さいな。

おしまい