ゆれる |
ゆらゆらと... |
か〜っ、なんとも表現しにくい映画。
問題提議としては秀逸なのだろうけれど、人間の気持ちとは何とも窺い知れないもの、観終わって、はふ〜っと大きくため息をひとつ。観なければ良かった、知らなければ良かったとさえ思ってしまう。でも、こういう時、こういうテーマだからこそ、普段は目をそむけたくなるようなこんなお話しを食入るように観るのでしょう。
人間って猛(オダギリジョー)に限らず、誰だっていい加減なところがある。要領をかまして、面倒くさいことや手のかかることからは上手く逃げ出して、楽しいことやラクなことばかりして生きていたいと思うもの。 そんな当たり前のことを教えてくれる。
これが、自分が直接手をくだしたのだったら、どれだけラクだったのだろう。 心の揺れを表現する言葉や台詞はない。最後まで、兄・稔から非難めいた言葉もない。そこには、ただ空気だけが、濃密にそれでいて空疎に漂っている。ボクはこの空気の中で、酸欠で口をパクパクさせながらスクリーンをみつめているだけ。
ボク自身は稔か猛かと問われると、猛タイプなんだろう、きっと。
兄弟とはどんなものなのかを考えさせられた。ボクは上に姉が二人いるだけで、男の兄弟はいない。兄や弟は憧れのようでいて、それでいてちょっと怖いような存在だ。同性であるがゆえに常に比較されただろう、きっと。 ガソリンスタンドのお兄ちゃん役の新井浩文、検察官役の木村祐一、そして智恵子役の真木よう子。いずれも出色の出来。特に真木よう子、若いのにどこか垢抜けず、それでいて地方の臭いがしみついた智恵子を本当に上手に演じていました。
しかし、この作品は上手い。唸ります。 おしまい |