天上の恋人 |
キティちゃんの哀しさ |
大陸の作品は北京や上海などの舞台に繰り広げられる都会的な作品か、人跡未踏(!)の山中に位置する寒村での牧歌的なお話しか、そのどちらかに大別できるけれど、どんな田舎にも都会的なものは押し寄せて来るものなんだなぁ。この両者の境界線があやふやになっている。
山また山、どこまで行っても、どちらの方角を見ても、そこにあるのは山だけ。そんな寒村で繰り広げられるファンタジー。
ある日、山の中の畑に赤い、真っ赤な気球が舞い降りてくる。その風船とともにどこからともなくこの村に辿り着いた口の利けない少女・玉珍(ユイチェン、ドンジェ)。彼女は何故かそのままこの何もない山の上にある集落にとどまり、目の見えない父親と暮らす耳の聞こえない家寛(ジァクアン、リィウイェ)が住む家に逗留する。奇妙な生活が始まる。
出てくる人、出てくる人、どの人も純真でキラ星のように輝いて、まぶしい。ただ、純真であるがゆえに、その行為がまどろっこしくて、すれっからしのボクにはなんとも辛気臭い。
山また山、こんな田舎では人の意思なんて、その悠久の自然の営みの前では無に等しかったりするわけだけど、それでも、生きている今を大切にして生きたい。そんな大それたことさえ思ってしまう。
それにしても、久しぶりにお顔を拝見するドンジェ。相変わらずの可憐なはかない美しさだけど、かつての大陸の女優さんそのままに、妙な硬さや青さを感じる。すなわち、いつまで経ってもこの人成熟した女性としての魅力には、本当に乏しいのが、貴重なようで、それでいて惜しいような...。
もう随分前に拝見したので具体的な人数は忘れてしまったけど、この日のシネマート、随分と淋しい入りでした。やっぱり、大陸の作品でも地味な題材のものはあかんねんなぁ、残念やけど。 再見! |