ケンカの技術

とにかく“痛い”お話し



  

昨年(2005年)の暮れにソウルへお邪魔したときに、何度か予告編を見た作品。早くも字幕付きで拝見できるとは嬉しい限り。

予告編やポスター、チラシなどから、こんなお話しかなというボクの思惑はキレイに外れた。
もっとケンカばかりするお話しかと思っていたけれど、意外とあんまりケンカそのものはしない。ケンカになっていない、弱くていつも一方的にコテンパンにやられてばかりなのだ。だから、ケンカはそんなにしないけど、暴力シーンは多い。
それにしても思うのは、韓国の高校生が送る青春の悲惨さ。とにかく大学受験を目指してひたすらに勉強をするか、それとも荒れ狂うクラスで暴れまわるか。勉強が出来なかったり、ケンカが弱かったりすると、どう考えても何一つとしていいことはなさそうだ...。
それに、何故かほのぼの系の学園モノってないような気がするしなぁ...。

大学受験はあきらめて、何度も何度も工業高校を転校し続けてきたソンビョンテ(ジュヒ)。今度の高校でも友人は一人もおらず、クラスの番長に目を付けられ、殴られ続ける日々。一日として生傷が絶えることがない。
ビョンテは悔しくて強くなるためにケンカの本や武術の本を読むものの、それらの本からは一向に効果は得られない(まっ、そりゃそうだ)。

そんなある日。一枚のコインがビョンテの運命を変える。

とにかく“痛い”お話しだ。今日日の高校生のケンカ(イジメ?)は中途半端じゃない。これでは不登校にもなる。
ビョンテは師匠に付くことになるのだが、あんまり熱心に教えてはくれない。「この一突きで相手を倒す」なんて教えはなく、ヒントはくれるのだけど、あくまでもヒントであり、その教えがビョンテの実力アップにはなかなか結びつかない。それでも、やるしかない。生き抜くしかない。
師匠は「犯罪の再構成」でのフィクサー役、「地球を守れ」での狂人(?)役で、大きなインパクトを与えたペクユンシク。この人、超越しているというか、突き抜けているというか...。でも行くところまで行ってしまい、なんとも世俗的なところがいい。いい味出してます(それにかっこいい)。
この映画は、高校の荒廃などが描きたいのではなく、あくまでも学園モノのアクション・コメディ。だからその背景をとやかく言っても仕方ないのはわかっているけど、少しは明るさも欲しかったような...(牛乳屋との追いかけっこは、明るかったか...)。いやいや、登校拒否にならないだけエライのかもしれない。

とにかく、深い意味はなく、ただ口をあんぐりと開けて観る映画かもしれない。
ただ、字幕が付いていたにも関わらず、ペクユンシクがどれほど凄い看板を背負ったおっさんなのかはさっぱりわからなかった。また、ビョンテの父親が刑事であることがほとんど生かされていないのは惜しいような気もします。もう一つ、どうしてビョンテが入り浸っていた自習室が廃校(?)になるのかもよくわからなかった。寝ぼけていたのかな?
最初の方で、数シーンだけイムンシクが出てきますのでお見逃しないように!

あんにょん。