ミスター主婦クイズ王

ハンソッキュウの瀬戸際?



  

ひょっとしたらハンソッキュウは“過去の名優”になってしまったのではないかと、密かに危惧していた。
ボクが韓国の映画にのめりこむ(?)きっかけになったのが「8月のクリスマス」。彼とボクの永遠のアイドル・シムウナの共演で、美しく切ないお話しだった。
その後「シュリ」で爆発的ヒットをかっ飛ばし、ハンソッキュウは、クレジットされるだけで大ヒットが約束されるというカリスマ的な俳優だったのに、「カル」「二重スパイ」「スカーレットレター」「その時、その人々」と興行的にも作品的にももう一つの作品に出演してカリスマ性が薄れると「塩人形」という作品はクランクインしたものの撮影が中断されるという憂き目にあっている。そうこうしているうちにチェミンシク、ソンガンホ、ソルギョングなどとは、すっかり立場が入れ替わってしまった。

そうして2005年の本作「ミスター主婦クイズ王」。
ソウルでDVDもVCDも見かけて、手に取ったけど買わなかった。決して大作でもなく、オピニオン色が強い作品でもない(いろんな思いや世相批判は込められているにしても...)。彼の姿を見るのが少し怖かった。
でもこうしてスクリーンで拝見すると、誰が観てもある程度楽しめる、軽いコメディ。手堅く仕上げているなという印象。
このジンマンを観て、ハンソッキュウは変わったとも思ったけれど、もう少しは大丈夫かなとも思った。もう、独身のいいお兄ちゃん的な役はムリだけど、いいお父さん的な役ならいける。マッチョでハードな役ではなく、ソフトで知的な大人(でも、少しずっこけてもいる)の役がいい。
ボクはジンマンのような彼を待っていた(ちょっとくだけすぎのような気もしたけど...)。でも、韓国での評価も興行数字もそんなに良くなかったみたいだけどね。
この作品以降の「淫乱書生」「殴打誘発者たち」は拝見していないけど、不発だったようで、もうしばらくハンソッキュウは“彷徨える名優”状態が続きそう。どうなるのかなぁ?

主演のジンマンにハンソッキュウ。彼の奥さんにシンウンギュン。ジンマンの友人役でコンヒョンジン。
有名大学を出て一流企業に勤め、エリート街道を驀進していたジンマン。何故か労働争議の矢面に立ってしまい、えいやぁって退職してしまう。奥さんは民放TV局のアナウンサーをしており、彼女に食べさせてもらっている状態。奥さんが働いている間に娘の幼稚園の送り迎えや家事に精を出している。主夫生活も5年目に入って、家事のすっかり板に付いてきた...。
ところが、同じ団地の主婦仲間と始めた利殖の話に乗ったばっかりに、コツコツ貯めて定期預金にしていた大金をすっかり持ち逃げされてしまったのだ!

あとはね、ご覧になってのお楽しみ。
ハンソッキュウの女装姿も一興だし、ジンマンの母親役のキムスミも貫禄がある。シンウンギュンを誘惑(?)するディレクターも面白い。

大ヒットとはならなかったものの、楽しくご覧になれるのではないでしょうか。
ボクもな、洗濯と掃除は好きじゃないけど料理と後片付けは苦にならないから、半分くらいは主夫になってもいいかなぁ...。なんて、そんなことを考えてしまうお話しでした。

もう数年して、ハンソッキュウのフィルモグラフィーを振り返ったとき、この映画にどのような評価が与えられているのか、ちょっと興味がありますね。

あんにょん。