卑劣な街/The Mean Street Back

黒社会の輪廻転生



  

ワールドカップ競技場から鐘路三街まで急いで引き返す。行きしなに、乗り換えの連絡通路がどこにあるのか観察してメモしてある。乗り継ぎも上手くいき、順調。それでもやっぱり30分以上かかる。ちょっとムリがあったかな。もう予告編が終わって本編が始まっていたところに飛び込む。いや、実は劇場を間違え、飛び込んだスクリーンでは「グエムル」が上映されていてびっくりしたんだけどね。

全体の雰囲気はチョスンウの「下流人生」。
チョインソンが主役。前回お会いした「ラブ・インポッシブル〜恋の統一戦線〜」よりもずっといい。
ストーリーそのものはカンタンで、街の底辺でうごめいていた若者が裏社会でのし上がって行くさまをクールに捉えている。ちょっとした味付けにビョンドゥ(チョインソン)の同級生が映画監督であることかな(あんまりスパイスとして効いているとは思えないけど)。

目新しいストーリーではないけれど、裏社会の青年(≒チンピラ)がかっこいいのではなく、人間臭く描かれているのが味噌なのかな。
人間臭さとはちょっと違うけど、同窓会で再開した初恋の相手との不器用なデートは笑ってしまう。そうか、女性の靴のサイズはああやって測るのか。職場の上司はとんだとばっちりだけどね。

問題は、この内容で上映時間が2時間オーバー(141分)ということでしょうか。主演が日本でも受けているスターだけに、きっとどんなカタチかわからないけど日本でも上映されると思うけど、100分ほどに整理した方がいいのではないでしょうか。
しかし、暴力や傷害・殺人が肯定されているわけではないけど、こうして堂々と美的に表現されているってどういうことなのでしょう...。
同じようなテーマを扱っていても、香港のノワールはもっとスマート。やっぱり上手いんだなぁ。

難しいことはさておき、ラストは哀愁が漂う。スター(チョインソン)のプロモーション映画としては良く出来ているのではないでしょうか。
監督は「マルチュク通り残酷史」のユハ。印象に残るのはチョインソンよりも、組織(?)のナンバー2を演じていた人(名前がわからないのが残念!)だったように思います。
この日は、この映画の最終日で最終回。小さいスクリーンに10名ほどの入りと淋しいものでした。ソウル劇場の12番スクリーンは なんだか屋根裏のような雰囲気で、チケットを売る窓口で「スクリーンが小さいけどいいか?」と念押しされたのも頷けました。

あんにょん。