チェケラッチョ!

Check It Out, Yo!



  

不思議な桃源郷、それがOKINAWAなのか。
ここでは、敢えて過去や現状は問わない。すなわち、太平洋戦争の戦禍や在日米軍基地の問題などには触れない。
そんなことではなく、沖縄で青春時代を過ごす高校生たちの、ある意味その場限りの物語り。別に悪い意味ではなく、ボクには四人の主人公達が眩しくて、まともに目を開いて見ていられなかった。
青春は、ウブで純真で、まっすぐ。だけど驚くほど視野は狭くて、見えるもの、見たいものしか見えないものだ。それがいいのか悪いのか、それをこんなおっさんが判断することではない。ただ、青春とはそんなものなのだ。

冒頭の披露宴にドギモを抜かれる。
披露宴とは、もちろん日常を離れた晴れの日の宴(うたげ)。それでも、普段の片鱗は見えるもの。楽しむときは徹底的に、そして長時間ゆったりと流れる時間のなかで楽しむのだ。
この披露宴で、主だった登場人物がさりげなく紹介される。おぼろげながら各人の性格も、人間関係も掴める。

何をやっていいのかわからない。でも、無茶はしないし、それとなく親の意向も肩にのしかかっている。かと言って、上の学校へ進学するでもない。卒業を目の前にして、文字通りどうしていいのかわからないのだ。

そんな中で、音楽に出会い、年上の女性に胸をときめかし、そして友情や家族の暖かさに改めて気付く。
ある意味、ありきたりな青春譜。
だけど、ボクの心に届くなにかがあったのも確かだ。それは、自分自身が青春時代に為し得なかった何かに対するオマージュだったのか。それとも、単に過ぎ去った時間への恋慕に過ぎないのか...。
いやいや、ボクの心情などどうでもいい。青春とは一直線! 見ていてハラハラドキドキするけど、何とも気持ちがいいもの。

今まで、ラップっていうものは、ボクの理解の範疇を超えているものだった。でも、少し見直したよ。

主人公の市原隼人はいい。今後も注目しておきたい。井上真央もいいです。どこかでお会いしたのかなと思っていたら、日本版の「流星花園(花より男子)」でツクシちゃんをしていたのか。また、柄本佑も久し振りにお会いしました。「美しい夏キリシマ」以来かな。平岡祐太は「スウィングガールズ」に出てたのか!
邦画を観る楽しみは、お話しそのものもそうだけど、いろんな役者さんに出会えるのがいい。若い子もそうだけど、この作品であれば平田満、陣内孝則、柳沢慎吾、松茂豊、伊藤歩(「のど自慢」に出てましたね)などなど...。
そんな中で不思議な感覚に襲われる「この役やったら、この人がいいやろう」って、ボクのアタマの中に浮かんでくるのが、韓国の脇役の方だったりするのだ。う〜む、重症なのか、それとも...。

この日は三重のお山まで遠征。事前にネットで調べておいて、関西では上映が終わっているこの作品を拝見することが出来ました。ネットって便利ですね。それに、伊賀上野にわずか4スクリーンとはいえシネコンがあるのには驚きました。そうか、三重はオークワの勢力圏内なんや!

誰がご覧になっても面白いかどうかはわかりません。「青いうた のど自慢 青春編」も青春なら、この「チェケラッチョ!」で描かれているのも青春。どちらも、青春真っ只中の人よりも、青春時代を過ぎてしまった人の方が楽しめるのかもしれません。

おしまい。