プロデューサーズ

「春の日のヒットラー」は一度観てみたい



  

くすっと可笑しかったり、つまらなかったり。怖かったり、悲しかったり。爆笑したり、涙ぐんでしまったり...。
映画はボクに対して様々な感情を要求する。でも、意外と少ないのが「楽しい映画」だ。ただ笑うだけではなく、映画を観ることそのものが楽しくなるような映画はそんなに多くない。これは、単にボクがそれらの映画を観逃してしまっているからだけなのかもしれないけど...。それに、ミュージカルを観るのは、実に久し振りなのかな?

あれこれ考える必要はない。楽しいことだけを観て、このお話しの世界にどっぷりと浸ればいい。ミュージカルって上映されること自体がさほど多くはないけれど、出演者たちが突然歌いだすことに、違和感さえ抱かなければ、これほど楽しい映画はありません(きっと)。

このお話しの欠点を敢えて上げれば「最悪のミュージカルを仕立てて、上演を短期間で打ち切ればプロデューサーが儲かる」という仕組みが、イマイチ理解出来なかったことと、裏帳簿の存在だけでいとも簡単に逮捕され収監されてしまうのかも、よくわからなかった。
でも、それは今振り返って思うことであり、観ている最中にはには、そんなこと一切気にならなかった。それはお話しや演出・演技に勢いがあったからだと思う。心のどこかに引っかかっていたとしても、次々に展開されるストーリーを前にして、ゆっくりと疑問を検証する余裕などないのだ。それこそ息を継ぐ時間も惜しいほどなのだから...。

楽しくて幸せな気分に浸れるのは間違いありません。
ショウビジネスにはズブの素人の会計士が辣腕のプロデューサーと組んでこの世界に引きずり込まれる。
パトロンたちから集められるだけの資金を集め、史上最悪のミュージカルを上演する...。

ボクは米国の俳優さんたちにはとんと詳しくない。マックス(ネイサン・レイン)とネオ(マシュー・ブロデリック)の二人や、ドイツ狂の怪しい戯曲作家ウィル(フランツ・リープキン)などが著名な方かどうかは知らない。ただ、皆さんびっくりするほど芸達者であることは間違いありません。
それにウーラを演じるユマ・サーマンがあんなに色っぽいとは知りませんでした。そういえば「キルビルvol.2」はとうとう観なかったなぁ...。

どんなストーリーなのか、どんな人が出てくるのか、そんなことは知っても知らなくても、ちっとも関係なく楽しめます。実に楽しめる作品。作り手のサービス精神がびんびん伝わってくる作品ですね。
出来れば大きなスクリーンで楽しんでいただきたいのですが、既に上映は終了しています。でも、この後もいつかどこかでスクリーンで巡り合える可能性は非常に高いと思います。そうしたら、そのチャンスを逃す手はないと思います。

そうそう、この作品に関してはエンドロールが始まったからと云って座席を立ってはいけません。最後までしっかりご覧下さいね。

おしまい。