トム・ヤム・クン!

もう少し洗練されると...



  

近鉄の東寺駅のホームには関西のイントネーションではない言葉を操る若い女性の二人組み。るるぶか何かを見ながら、次に行く場所について検討している。
「そこへ行くんやったら、近鉄乗らんとバスで行ったら...」と、ノドまで言葉が出ていたけど飲み込んだ。折角二人で京都観光へ来られたのだから、怪しいおっさんに声を掛けられては楽しい思い出も台無しだ。

しかし、さすがゴールデンウィーク。京都駅から乗り込んだ新快速は超満員。ボクは運良く座れた。今から長駆、神戸まで一直線。こんないい天気の休日に映画館のハシゴとは、実にもったいない。
高槻に停まったのも知らない、気が付けば新大阪で、尼崎も気が付かず。三ノ宮でハタと目覚め「しまった!乗り越した!」と思って慌てたけど、外に見える風景は三宮。良かった。神戸では超満員の人波を押しのけて、どうにかホームに立つことが出来ました。「あゝ、良く寝たなぁ...」

映画が始まるまで少し時間がある。湊川公園まで散歩も兼ねて歩く。真っ青な晴天。爽やかで本当に気持ちがいい。ここの市場にあるお肉屋さんには「犬のオヤツ」と称して、牛の骨を焼いたものが売られている。これを一つ買う(しかし、こりゃちびっとごっついで)。商店街を歩いていると、中学の時に着ていたようなスクールジャージが売られている。このデザインといい色といい、いかにも学校指定って雰囲気を醸し出している。そう言えば、山歩きに愛用しているジャージ(これも買ったの三宮やったなぁ)がずいぶんくたびれている。下だけ買いました(なんと、400円ナリ)。

神戸駅に戻る。駅前からそう遠くないビルの、とある階にシネカノン神戸。

前作の「マッハ!!!!!!!!」は、お話しそのものはたいしたことなかったけど、主演のトニー・ジャーは凄かった。今回もこの基本は全く同じ。ただ、前作と比較すると恐ろしいほど予算は費やされている。オーストラリアでロケもしてるしね。
惜しいのは、その恐ろしいほど使った費用が、そのまま映画の良さや、アクションシーンの迫力に生かされていないことだろうか。前半部分の見せ場に、ボートで川を疾走してチェイスする長いシーンがあるのだけど、もう少し上手く撮れば凄い迫力だっただろうに、ヘリを爆発させてのアクションも、なんだか「凄い!」とも思わなかったのは何故だろう?
こうやって観ると、ジャッキーチェンのアクションが如何に洗練されて、計算されたものなのかが良〜くわかります。
悪の権化である華僑のボスが、ニューハーフなのも、全く意味不明。

いやいや、この映画の基本は、ストーリーを追いかけるのではなく、織田裕二が次から次へと息を継ぐ間もなく繰り広げられるド派手であまり意味がないアクションの連続を大きな口をアングリと開けてただ眺める、これに尽きる。
探す相手が、仏像なのか、それともゾウさんなのか、それだけの違いですね。

しかし、人間というのは何でも食べるんですね。広東省では「飛行機以外の飛ぶもの、机以外の四本足のものは何でも食べてみる」そうだけど、全くその通りなんですね。こりゃ凄い。

タイ系の警察官の方(ペットターイ・ウォンカムラオ)、タイでは人気のある人なんでしょうか。憎めない顔ですよね。このキャラクターを主人公にして、人情警官モノのお話しを撮ってもらいたいものです。はい。

このタイトル「トム・ヤム・クン!」って、てっきり日本で付けられたものだと思っていたら、なんと、原題なんですね。う〜。これはどんなものなんでしょう?

ストーリーもカメラも作りも、どこか「ぬるい」けど、こんなアクションモノは絶対に大きなスクリーンで、大音響で楽しまないともったいないですね。

おしまい