シムソンズ

よっしゃ、一丁やるか!



  

ボクはかなりオヘソが曲がっていて、この冬に華々しく開催されたトリノ冬季五輪のうち、TVの画像で拝見したのは、荒川選手が金メダルを獲得した女子フィギュアの最終日だけだった(これはライブで見た)。他の競技はラジオや新聞などで結果を眺めていただけ。でも、女子のカーリング競技が善戦していたのは知っている。
そう言えば、遥か彼方の昔、バンクーバーの空港で乗り継ぐ飛行機を待っているときに、ロビーに置いてあるTVでカーリングの中継をやっていたのを思い出す。その当時、何故かボクはこの競技のことを知っていた。日本では超マイナーなスポーツなのに、カナダではTVで放映され、しかも大勢の人がその放送に見入っていることに、驚いた。

そんなに簡単にオリンピックに出られるのか、大会で決勝まで残れるのか?
そんなごもっともな疑問はひとまず置いておく。

主人公のノー天気な女の子・和子(加藤ローサ)が、校舎の屋上で叫ぶ。「自分の10年後を想像してみるわけよ、そうしたら、10年後の自分がちっとも浮かんでこなくて、頭の中が真っ白!」(セリフそのままではないけど)

「どうしてこの子も一緒なんだ?」と思わないでもないけど、とにかく、人の良い三人組は、もう一人の少女・美希(藤井美菜)を加えて「シムソンズ」というカーリングのチームを結成する...。

なんたって青春真っ盛り。恋愛関係はほとんど出てこないけれど、進路や両親やその他イロイロあるわけょ。そんなイロイロを乗り越えて「1点取ろう」から「ひとつ勝とう」へ目標を移しながら、たった一度しかない青春をそれなりに燃焼する。
スポ根とはちょっと違う。たとえ、彼女達が映し出されない部分でどんなに必死になって練習していたとしても、スポ根とは違うように映った。
最初は熱さがあまり感じられなかった。どこかクールで、いつも逃げ道が用意してあったように思う。まぁ、それは最近の若い方たちには当たり前のことだしね(もっとも、今のボクだってもちろんそうなんだけど)。

でも、このシムソンズには、運もあれば、天賦の才があったようだ。
もちろん、それらを手繰り寄せるだけの努力もあったんだと思うけどね。
いや、それだけではなく、昨日まで何の目標も無く日々を過ごしていた普通の高校生が、必死になって取組んでいるっちゅうのがイイ。

なんだ、かんだ云って、斜に構えて観ていたボクも、いつの間にか熱くなっていた...。

シムソンズのメンバーは普通の女の子たち。目を引いたのは放送局のカメラマン(山本浩司)。この人、こんな普通の人の役も出来るんだ。さすがに舞台が北海道だけあって大泉洋も出てる。
ボクは途中で気が付いて、声を出しそうになったのが派谷恵美(はたちやめぐみ)が、シムソンズのライバルチームのキャプテン役で出ていたことでしょうか。

とにかく、どうしてか良くわからないけど、熱くなれる。クールなんだけど、青春スポーツものの王道を行く作品だと思います。
まずまずのオススメ。いっぺん、実際に氷の上に立ってカーリングをしてみたくなること請け合いです。

そう言えば、これまた遥か彼方の昔のこと。とある人に連れられて、ボクは木津川にカヌーを漕ぎに行った。その帰り道のクルマの中でその人に「必死にやったら、オリンピック行けるかもしれへんで、とにかく競技人口がむちゃくちゃ少ないから」と言われたこともあったなぁ...。あの時、そっちの方へ進んでいたら....。

おしまい