SPRIT スピリット

清く正しい青少年の皆様へ



  

昨年の秋口からがっくしと映画を観るペースが落ちていたけれど、どうにか仕事も落ち着いて、どうにかお尻を落ち着けてスクリーンに向かい合えるようになってきた気がします。
今回はジェットリーが主演の武侠片。カンフー・アクション大作として観ることも出来るけど、片方では啓蒙的教育映画として観ることも出来る。良く出来たお話しのようにも見えるけれど、実はちょっと中途半端な作品でもあるかな?

中国の都市・天津。ここで武術の道場を開いている父のもとに生まれたのがファンジア(ジェットリー)。文武両道を旨とする父はこの息子に対して、武術の技や強さよりも、教養や精神的な修養を命じていた。いわゆる“心技体”ですね。しかし、ファンジアはより直截的な“強さ”しか求めていなかった...(如何にも若者的な発想)。
そしてファンジアは成人する。それを諌めてくれる父はもうこの世になく、やりたい放題。人間としての魅力は“強さ”に付いてくるものだと思い込んでいた。そこで大きな壁にぶちあたり、ファンジアは全てを失い放浪の旅に出る...。

画像は美しく、ファンジアの幼馴染である学友(?)が経営する料亭やファンジアの家(道場?)の天井が高い作りは、レスリーとコンリーが主演していた「花の影」を思い出させるし、放浪の末行き着いた桃源郷は「山の郵便配達」を彷彿させますね。
それに、ジェットリーのアクションは素晴らしくて、天津での階段状に並べた板を駆け上がり決闘するシーンでは、思わず手に汗を握ってしまいました。
ただ、物事を素直に受け止められなくなっているボクには、少々教訓めいたお話しが気になります。ここまでこの物語りに意味を付けなくてはあかんのかなぁ...。
ゲスト(?)には、中村獅童が出ていて、この人も中途半端な役だけど、中国映画で描かれる日本人にしては珍しく人間らしく描かれています。ただ「もう少ししっかりお稽古しましょうね」って感じだけど。
まっ、それはともかく、ある程度楽しめる映画には仕上がっていると思います。

おしまい。