ウォー・アイ・ニー

この映画は何なのか?



  

大陸の作品。しかも現代が舞台になっているお話しは久しぶり。
実際にはそうでもないかもしれないけれど、そんな気がした。
前情報も何もないうちに、この映画を観ることを決め、スケジュールを入れる。

大きな疑問符がアタマの中で点滅する。この映画は観る人に何を伝えたかったのか、テーマは一体何だったのか?
ストーリーは難解ではない。ある意味単純で、現代の北京に暮らすある夫婦の愛情についての一考察に過ぎない。
そこに難しいメッセージがこめられているようには、ボクには見えなかった。

すると、この映画は何なのか?
単に浅はかな男と女が勢いだけで結婚をし、そして別れるまでを描いたのか。本当に「それだけ」なの?
そんな裏読みをしたくなるような展開だ。

舞台は北京。運転免許の試験場で、友達とそのフィアンセと会う。その後一緒に飯を食べ、深夜の遊園地にあるプールに忍び込んで泳ぐはずが...。
(ここまでの展開が鮮やかなだけに、その後との落差の大きさにびっくりしてしまう)

結婚というのは、一時の思いや、勢いだけでしてはいけないという“戒め”なのかなぁ?
そういう意味なら示唆に富んだお話しだと受け取ることも可能だ。
でもその後、際限なく繰り広げられるレベルの低い(?)夫婦喧嘩の連続に、果たしてここに「何かある」とは思えなくなってくる。
ボクは男性だから、映画を観ながらなんとなく旦那の方に同情してしまい、単に駄々をこねているとしか見えない女性に対して嫌悪感(!)を抱いてしまう。でも、それってほんとうなのか? 女性が観たらボクの逆なのか?
エピソード一つひとつの表現方法が、工夫がなく稚拙なのかもしれない。少し違う見せ方であれば、もっと評価されていたかもしれない。それとも、この夫婦のどっちが悪いのかを評価するのは観客の仕事なのか? そしてそれを楽しむ作品なのか?

数年前、年の瀬の香港で「開往春天的地鉄/SPRING SUBWAY」という作品を偶然に観たことを思い出していた。
この作品も、現代北京のある夫婦の姿を描いているものだった。でもその作品には人の心情の機微が描かれ、ボク自身にも思い当たる描写も少なくなかった。
でもこの「ウォー・アイ・ニー」には全く心が動かず、それどころか、退屈で仕方なかった。それほど、レベルの低い夫婦喧嘩は見ていても何も面白くないもなのだ(当たり前か)。

入りはぼちぼち。
調べてみると「開往春天的地鉄/SPRING SUBWAY」も「ウォー・アイ・ニー」も主演の女優さんは同じで徐静蕾(シュージンレイ)なんですね。どうりで感じが似ていると思った!
関西での上映は未定のようですが、きっとナナゲイかヌーヴォあたりで上映されると思います。
大陸の作品が好きな方にはいいかもしれませんが、無理をしてまで観る映画ではないように思いました。
それにしても、ボクの粗末な中国語のレベルが、限りなくゼロに近づいていることを認識させられました...。あかんなぁ...。

おしまい。