PROMISE〜無極

華鎧の美しさに酔う



  

福山へお邪魔していたので、神辺まで足を伸ばし、昨秋にオープンしたシネコン、エーガル8シネマズでうわさの作品「PROMISE〜無極」を拝見してきました。
ボク自身、一月半ほど映画館から足が遠のいていて、久々だったのでなんだかドキドキしてしまいました。

で、映画のお話し。
一言で表現すると「綺麗な映画」ですね。
とても有り得ない浮世離れしたお話しが展開されていくのですが、2時間を超える長尺にもかかわらず、飽きることなくうっとりとさせれれながら一気に観せられてしまいました。その手腕は“さすが”と言う他はありません。
しかし、手放しで“素晴らしい”と絶賛するにはどうでしょう? 最初の10数分で拒絶反応を起こしてしまった方には、辛い2時間となったのかもしれませんね。
視覚的には衣装も役者も素晴らしい。それは間違いないけれど、ストーリーにがっかりする方もいらっしゃるでしょう。でも、ここで物語りについて触れるのはやめておきましょう。
「コメディなの?」と思ってしまうほど、笑えるネタもたくさんありますが、それもご愛嬌でここでは触れません。

ボクが気になっていたは「海棠」とはどんな花なのかということ。ちょこっと調べてみると、桜の兄弟のような花なんですね。
傾城(けいせい・セシリア・チャン)は「ひとたび振り返れば城が傾き、再びすがれば国が傾く」ほどの美女なんですね(拙宅にはないけれど傾城という名前の椿もあります。確か赤い花の西王母の実生で桃色一重の清楚な花を咲かせるはず)。ただ、彼女には象徴される色がなかったのが、わざとなのかもしれないけれど、ちびっと残念でした。
セシリア・チャンは、彼女がこの役を演じていると事前に知っていたのにもかかわらず、なかなか信じられなかった。そして、写る角度によって彼女の面影が現れ「あゝ、やっぱりセシリア・チャンなんや」と思ってしまう。この役が彼女に似合っているのかどうかはわからないけれど、女優さんは演じる役によってどんどん変わっていくんやなと、当たり前のようなことを思いました。

ボクが一番好きなシーンは、馬蹄谷での会戦に勝利した光明が、兵士たちの手によって高く胴上げされるシーンでしょうか。光明が上に上げられると周囲の兵士が白い盾を持ち上げ花を開かせる。美しいシーンでした。
光明(真田広之)が率いる軍勢の赤、無歓(ニコラス・ツェー)軍勢がまとう白、そして雪国出身の刺客黒鴉(リウ・イェ、本とは鬼狼だけど黒鴉という名前の方がピンと来ますよね)の黒いマント(?)。この三色が凄いぞ!
この映画、出演者は無数にいる。エキストラを含めるとそれこそ雲霞のごとくの数に違いない。されど、台詞のある出演者は少ない、極端に少ない。数えていないけれど10人ほどじゃないかな? それで2時間以上もたせるのだから、チェン・カイコー恐るべし。

一説によると、ニコラス・ツェーの役にはレスリー・チャンを起用したかったのだとか。するとボクはセシリア・チャンの傾城ではなく、もっと繊細で超越した美しいさを持つ女優さんを起用しても良かったのではないかと思ってしまう。それに黒鴉には、実はサム・リーが希望だったりして...。
上手いなと思ったのは、ただの一度も真田広之の身長が気にならなかったこと。このカメラワークは秀逸だ!

最後に、この映画は全編を普通話の台詞で撮られているのだけれど、どうなんだろう? 台詞がある俳優で大陸の人はリウ・イェだけ。他の人はそれ以外の言語で活躍している。気が付かなかっただけで吹替えだったのか、それとも一生懸命台詞を覚えたのでしょうか? 特にセシリア・チャンは、あのハスキーボイスが聞こえたり聞こえなかったり、チャンドンゴンも彼の発音がとてつもなく下手に聞こえる時とそうではない時があったしなぁ...。

評価は真っ二つに分かれると思いますが、ボクは凄く楽しめました。
今回初めてお邪魔した神辺に出来た「エーガル8シネマズ」。シートがとても良くて、気持ち良く鑑賞できました。チャンスがあればまたお邪魔したいです。

おしまい。