マルチュク通り残酷史/Once Upon a Time in High School/マルチュク青春通り

ブルースリーがヒーローだった頃



  

今回もソウルで買ってきたDVDの紹介。
実は、VCDも含めてまだ10枚くらい残ってる。う〜、先は長そう。

東京では一歩先に劇場公開が始まっている「マルチュク通り残酷史/Once Upon a Time in High School/マルチュク青春通り 」。今をときめくクォンサンウとハンガイン、それに「海賊、ディスコ王になる/Bet on my Disco」に出ていたイジョンジンの三人が主演。その他のメンバーもなかなか豪華、「恋する神父」でもクォンサンウと競演していたキムイングォン、担任の先生にはこのところよく見かけるアンネサン、やばい雑誌を売りさばく少年も何度かお会いしたことがあるような...。で、力が入った(お金がかかった?)作品なんですね。

時代は1978年。ソウルの漢南地区、ここにあったマルチュク通り(ほんとにあるのかな?)に位置する高校に転校してきたヒョンス(クォサンウ)が経験する一年を鮮やかに描いている学園モノ。
みんな高校生を演じるには「ちょっと待って」と思わないでもないけど、制服を着てしまえばあまり違和感は感じないから、学生服って偉いねぇ。
この78年に高校2年生なら、ボクとほぼ同じ。そうか、ボクは西宮で冴えない青春を送っていたけど、ソウルの高校生はこんなんだったのか。あの頃は、韓国やソウルはおろか、外国へはほとんど興味なかったのになぁ...。

ハンガインって他の映画にも出演しているのかな?
今回初めてお会いしたような気がします。DVDのジャケットに写っている彼女の写真を見て、ソンイェジンかと思った。それは「クラシック」の制服姿のソンイェジンにイメージがだぶっていたのでしょう。実際、モニターの中の彼女は美しく魅力的。いいねぇ。ちょっぴり(いや、大いに)惹かれました。でも実生活では婚約している彼氏がいるとか、それは残念(?)。

学校内は暴力が支配している。教師も生徒間も。
そんな高校で目立たないようにひっそりと生きていこうと決めていたけれど、なかなかそうはさせてもらえない。学校牛耳るワルどもに目を付けられる。
方や、通学のバスの中。近所の女子高に通う女性に惹かれている自分もいる。いつもは彼女の姿を遠くから眺めているだけで満足だった。それが、ちょっとしたきっかけで他校のワルから逃れるために、彼女と手をつないで街を走り回るはめに...。そんなきっかけでウンジュ(ハンガイン)と仲良くなった。

時代がダブリ、ボクにとってはノスタルジックな思い出が詰まっているようなシーンが続く。
ヒョンスの恋が実るのかどうかではなく、教室でのささいな出来事、塾や深夜放送、そんなどうでもいいような、脇を飾っていることが懐かしく、切ない。大人ぶってディスコに仲間と出かけたり、お酒やタバコを試す。エロ本の仲間内での回し読みや売り買い(しかし、どうして日本語の「スクリーン」が!)。うんうん、そんなこともあった、あった。
そして、思いつめれば思いつめるだけ、自分だけで盛り上がって、相手には伝えられないその思い。わかる、わかる。

今回は日本語字幕ナシで見たんだけど、この作品はきっと字幕があった方が、細部のニュアンスがわかって面白さも倍増、三倍増だと思う。
それに、30年程前のソウルでの青春譜を共有の思い出として持っていれば、涙が出るほど懐かしく楽しいでしょう。この出演者だから、韓国でも若者の動員が多かったのでしょうが、きっとこっそり観に行った40代のおじさんやおばさんの数も少なくなかったのではないかな。

まずまずのオススメ。アイドル映画ではなく、青春映画として楽しめると思います。恋愛モノと言うよりも、青春モノそのものですね。
もちろん、無理して字幕なし版をご覧になる必要は全くなく、映画館でも現在上映しているでしょうし、もう少し待ってビデオやDVDでご覧になっても良いと思います。
間に合えば、字幕付を上映している間に、もう一度ハンガインにスクリーンでお会いしたいものです。

おしまい。