私の頭の中の消しゴム/A Moment to Remember

切ない思いで、胸がつまる



  

ソウルで買ってきたのに、封も切られずに積まれているDVDやVCDが何本かある。実にもったいないお話し。
アベちゃんのエアコンがぶっつぶれてどこへも行けないので、このお盆の期間はそれらを何本か見ることにしました。

まず取り出したのが、ソンイェジンとチョンウソン主演の「私の頭の中の消しゴム/A Moment to Remember」。映画館でどんどん予告編が流されており、それこそ早く見ないと日本での公開が始まってしまう!

だいたいどんなお話しなのかは事前情報で知っていた。でも、想像以上の出来で、涙こそこぼれなかったけれど、良かった。
特にチョンウソンがいいですね。ひょっとしたら日本で、今まで以上に人気が出るかもしれません(もうすでに人気者なのかもしれないけれど)。
ボクはソンイェジンが演ずるキムスジンが主人公だと思い込んでいた。でも、本当はチェチョルス(チョンウソン)という建築家がこの映画の主人公だった。そう思って拝見していると、じんわりと心にしみこんでくるものがありますね。

冒頭のシーンがなかなか意味深。濃い目の化粧をしたスジンが竜山駅のホームで荷物を抱き、切符を握り締めている。人を待っている。立ったり座ったり、汽車の時間は迫るのに、待ち合わせをした男は来ない。電話をかけようと電話ボックスに入るが、ダイヤルを回すことはない、そのまま泣き崩れてしまう。スジンは裏切られたのだ。

そんなある晩、スジンはコンビニでコーラを買った。代金を払い、店を出る、バスに乗り込んだところで、財布をコンビニのレジに忘れてきたことに気が付いた。あわててコンビニへ戻ると、その入り口で、自分が買ったコーラを手にした男(チョンウソン)とすれ違う。瞬時に「この男が私のコーラを盗んだんだ」と判断したスジンは、ものも言わず彼の手からコーラを取り上げ、その場で栓を抜きごくごくと飲み干す。そして、おまけにげっぷまでお見舞いしてしまう。

こんな男女の出会いもあるんだな。
こんな出会いがあり、再会がある。コーラをめぐる無言のやりとりもある。

最初は全く素性がわからなかったチョルス。どんな男なのかだんだんと明らかになっていく。
そして、(ボクにとっては)予想外のスジンの積極性。

秋が冷たそうな路地の屋台で、この二人は隣り合わせて座り、テーブルの下ではしっかり手を握り合っている。う〜む、見ているこちらは、しみじみというよりも、この事の成り行きのスピードに唖然としてしまう。
有り得ないような展開に、かっこ良過ぎるぶっ飛んだセリフ。でも、それがこの美男美女なら許されてしまう。

いわゆる難病もの。わかっているのに、その後の展開があまりにも切ない。
お弁当を開くと、そこにはご飯だけしか入っていなかった。家に帰れば、部屋中にメモが貼ってある。そして、事件が起こる...。

チョルスの家庭環境を巡る秘密や、スジンの過去などはやや蛇足だと思わないでもないけれど、お話しの流れがしっかりとしているだけに、とても上手くまとまっていると思います。
どこかで読んだのですが、何でも、かつて放映された日本のTVドラマが原案なんだそうですね。
な〜んだと思われるのか、はらはらと目尻を濡らすのかはご覧になる方次第なのではないでしょうか。
スクリーンに足を運んでもそんなに損はしない作品だと思いますよ! 10月に入ったら、梅田ブルク他で公開です、お楽しみに!

チョンウソンの出演作では「糞犬/Mat Boy」のVCDも積まれたまま。ありゃ、これも「トンケの蒼い空」というタイトルで劇場公開(関西ではテアトル梅田、京極弥生座・時期未定)が決まっているようです。上映までに順番が回って来るかな?

おしまい。