波浪注意報/My Girl and I

セカチューからは、離れて観てみたい



  

ボクはチャテヒョンという役者さんは好き。
演技の幅が広いとは思わないけれど、ちょっと年齢不祥なところがあって「憎めない後輩」って感じかな(この映画で演じる、彼の高校生姿にはかなり違和感があったけど)。でも、このままだといつか壁にぶつかる、その時に一皮むけるかどうかが分かれ目になるような気がする。

「波浪注意報」は邦画「世界の中心で、愛をさけぶ」のリメイク。
お話しの骨子はほぼ同じだけど、そのスケールはずいぶんダウンしている。もう少し大胆な味付けが施してあるのではないかと思っていただけに、正直云ってちょっとがっかり。だって、恋愛ものを描けば日本のものよりも韓国の製作の方が上手いと思っていたから。それに、この映画で語られるストーリーはかなり韓国チックだとボクは思っていた。
リメイクするのは構わない。キャスティングも悪くない。でも、単に物語りをなぞっただけでは、そこに観る者の魂をゆさぶるような何かは生まれないと思う。作り手の意思が感じられなかったなぁ。もちろん、オーストラリアへ行くというのは、ちょっと浮世離れしているからそれをなぞる必要があるとは思わないけどね。
「世界の中心で、愛をさけぶ」は、映画にはほとんど出たことがなかった森山未來と長澤まさみが主演して、フレッシュさで勝負していた。今回は芸達者のチャテヒョンとが起用されているだけに、もう少し彼のキャラクターを活かしても良かったのになぁ...。
ソンヘギョは意志と気が強そうな目が良かった。これからも注目していきたいですね。
だからこの映画、本当は「世界の中心で、愛をさけぶ」とは離れて、全く別の作品として観た方がいいかもしれないな。

ストーリーをここでもう一度ボクが紹介しても仕方ない。
それよりも、この映画を観ながらボクが思っていたのは、日本の風景と韓国の風景は驚くほど似ているということ。漁村の風景、田んぼが広がるのどかな風景。どれをとっても、似ている。カットの一つを見せられたら、それはもう見分けはつかないかな。
もう一つは、この映画、ドロっとしたところが全くなくて、かなりカラっと仕上がっている。そして、いい人ばかり揃っていて、悪い人が全く出てこないところ。これは爽やかとも受け取れるし、軽い(喰い足りない)とも評価されるでしょうね。この辺が難しいところです。

年末で冬休み中だったので、話題作や大作の公開が相次いでいるせいもあってか、お客さんの入りはもう一つ。ソンネでは早々と上映が打ち切られていました。残念なような気もするけれど、韓国のお客さんも目が肥えているというか、正直なもの。その程度の作品だったような気もします。
でも、もし、この映画をリメイクではなく“悲運の初恋物語り”として捉えるのであれば、ヘンにお話しがこねくりまわされていない分だけもっと評価されてもいいかもしれません。
余談ですが、セカチューの小説を読んだとき「このお話しはまるで韓国映画の『手紙』みたいやなぁ」という素朴な感想を持ったのを思い出しました。

主人公の祖父。原作では写真館をしているのだけど、こちらでは棺桶屋(葬儀屋?)さんなのには、思わず笑ってしまいました。ただ、モノクロの写真で語られる祖父の過去のエピソードがほとんど理解できなかったのは、ちょっと残念(このエピソードがこの映画の真骨頂だったのだろうか?)。
またチャテヒョンの妹のエピソードもいいですね。電話のコードもいいけれど、柔道着の姿もキュートです。

きっと日本でも上映されると思います。チャンスがあれば見比べてもいいかもしれませんね。それとも、全く別の作品としてご覧になるのか...。いずれにせよ、ボクは字幕付きでもう一度拝見したいです。

おしまい。