ナンパの定石

ソンイェジン、こっちがほんま?



  

ソウルの鐘路三街は地下鉄の駅から上がると「ピカデリー」「団成社」そして「ソウル劇場」と新しくて大きなシネコンが立ち並ぶ、映画館の街。
「団成社」はかつては大きなスクリーンが一つあるだけだったけど、建てかえられて、幾つものスクリーンがある映画館のビルになっている。ここは韓半島で初めて映画が上映されたという由緒がある映画館ですね。

今回、4年半ぶりに団成社で拝見したのは「ナンパの定石」。さすが、ソウルの中心地だけあって平日の夕方でも200名ほどの入り。
ソンイェジン、ソンイルグク主演のお軽いお話し。

特に何というストーリーがあるわけでもないのだけど、唯一驚いたのが「あのソンイェジンがこんな軽い役を演じてしまってええんやろか?」ということ。まるで、キムハヌル路線を狙っているかのような気がした。もっとも「初恋死守決起大会(邦題:君に捧げる初恋)」でも、感じとしてはこんな役もしてたんだけどね。
役どころも面白くて、自分のオフィスや車の運転中には演歌をガンガンかけて一緒に歌っている姿は、微笑ましい(これが、どんな曲なのかわかればもっと面白いのでしょうが、そこまでは至らない)。
今まで演じてきたソンイェジンのイメージとこの映画で演じるナンパ師ジウォンとのギャップをこの映画を観る人は楽しむわけだ。それが、意外なことに違和感があんまりない。今までの彼女は清楚で、可憐で、触れるだけで折れてしまいそうな一途な少女を演じていたというのに、計算高くてなまずるいこのナンパ師こそが、ソンイェジンその人ではないのかと思ってしまうから、不思議なものですね。

このお話しが面白くなるのは、チェジュへ行ってからだと思います。お話しの筋に関係なく上手く面白く見せてくれていますよね。
結局この二人の恋の行方などには、最初から観ている人には興味がなくて、折々の局面をどう面白く見せてくれるかなんだと思います。下品にならずにまとまっています。
ミンジュのお父さんもケッサクと言うしかありません。しかし、船も欠航する悪天でどうやって自家用飛行機で飛んで来るんや!

この作品、ハズレではなく、ソウルでもそこそこの興行成績を上げているようです。と言うことは、今後ソンイェジンが出演する映画の幅がかなり広がったのではないでしょうか?
ボクは詳しく追いかけてはいないのですが、彼女の次回作や次々回作がごっつい楽しみになってきました。彼女が主演するホラーものを撮ったら、結構お客さんが入るかもしれませんね(キムハヌルも「霊/リョン」に出ていますしね)。

あんまり肩に力を入れて観るような作品ではありません。
日本で上映されるかどうかは微妙ですが、ビデオやDVDでご覧になっても充分お楽しみいただける映画だと思います。

おしまい。