六月の日記

アイロンでスルメを焼く



  

SHINHWAのエリックがムンヒョンジュンという名前で映画に出るのは二本目(?)。前作の「甘い人生」では台詞が一言もなく、全く謎のの殺し屋としての出演。今回はベテラン人気女優のシンウンギュンとのコンビで刑事役。
力が入っているのがボクにもわかる。なんだか台詞が上ずっているょ。頑張れ、エリック!

しかし、この作品を映画としてどう評価すればいいのだろう? 結局言葉足らずのような描き方。刑事モノなのかそれとも社会派のドラマなのか。どっちもつかずで、ボクはいっそうのことコメディにすればいいとすら思ったほど。そう思わすほど、語られる内容には疑問符が付く。

猟奇的な殺人が起こる。それも何故か中学生が殺害されるという異常な状態。次いではマンションの屋上から中学生が飛び降り自殺する...。
この捜査に指名されたのがドンウク(エリック)とジョヨン(シンウンギュン)。殺された中学生、屋上から飛び降りた中学生、ともに同じ中学の生徒だとわかり、学校へ向かう。その後、徐々に明らかにされる事実。そして、死んだ中学生の体内にはカプセルが埋め込まれ、その中には切り取られた日記の一部が入れられていた!

異常な事件だけど、描き方はある程度明るい。だけど、語られる事件の背景は陰惨で目を背けたくなるような内容だ。ネットの力がこんな風に歪められて使われるとなると、なんとも苦々しさだけが残る。
ボクはもう学校を後にして随分と経つし、今の中学校がどんな雰囲気で、イジメがどの程度行われているのか、実態を知ることはない。実際には、そこにいる生徒たちと教員しか事実を知るすべはない。この映画で描かれるイジメが実態とかけ離れているのかそれとも誇張されているのかは知らないけど、信じたくないなぁ...。

捜査線上に現れ、切り取られた日記の存在が明らかになる。
その後は、ジョヨンの高校時代の同級生ユニ(キムユンジン)がクローズアップされる。そうこうしているうちに、ジョヨンが同居して面倒を見ている甥(弟?息子?)で例の中学で問題のクラスに属するジュナが姿を消していることに気が付く...。

「最近の中学はこんなんやで」という意味では充分に衝撃的だったし、それが理由で殺人を犯すこともわからなくともない。しかし、ドラマとしては面白くともおかしくもなく、なおかつ、悩みもない。
それに、本題以外にもサイドストーリーを入れすぎなのかもしれません。そのせいで、どうも焦点が絞りきれずに散漫な印象を受けてしまうのでしょう。
刑事のお話しはある意味“勧善懲悪”的なところに、観る側はカタルシスを覚えるのだが、このケースではその構図は存在し得ない。犯人も殺される側も、同じく“被害者”なのだから...。

後味の悪さを口いっぱいに頬張らされて、スクリーンを後にしました。
今後、エリックの人気が爆発すればどうなるかわかりませんが、日本での上映はちょっと難しいかもしれません。

この日拝見したのは、ソウル郊外にあるプチョン市のソンネという駅前にあるシネコン。「私の結婚遠征記」「クァンテクの弟〜」そしてこの「6月の日記」はソウルの中心地では上映が終了しており、ここでは滑り込みセーフで上映していました。助かった!
でも、この3作品ともお客さんの入りは悲しいほど少なくて、貸切にこそなりませんでしたが、両手で充分なほどでした。
映画館が入っているビルを出て、部屋を取っているモーテルまで戻る短い時間で、芯から冷え切ってしまいました。あぁ、寒かった!

おしまい。