私の結婚遠征記/wedding campaign

破れた革靴と薄紫のスカーフは恋の色



  

この映画を観ながらいろんなことを考えた。
でも、この映画は難かしいことはあんまり考えずに、楽しんで笑えばそれでいいのかもしれない。

日本でも一時、農村に嫁入りするお嬢さんがいらっしゃらなくて、農協主催のお見合いパーティや外国から嫁入りしてもらうことが話題になったこともある。実際、相当数の方が外国から日本の農村にお越しになっているはずだ。それだけ、農村の嫁不足は深刻なのだ。
その事情はお隣の韓国でも同じなんだけど、このお話しでは、どうして農村にお嫁さんが来ないのかはあまり掘り下げない。構造的な問題もあるのだろうけれど、それはマンテク(チョンジェヨン)とその幼馴染ヒチォル(ユジュンサン)の個人的な問題に置き換えられている(ような気がする)。
もう一つ、半島から遥か離れた旧ソ連のウズベキスタンにどうして朝鮮族の方が住んでいるのか、それもほとんど説明されていない。

それはともかく、冒頭のお風呂場をのぞき見するシーンでも笑ったけれど、村の集会所(?)に上がりこんで酒を飲みながらカラオケをうなり、そして我が身の悲運(?)を村中に放送してしまうのには笑ってしまった。ありきたりな手法だけど、これらで観る側の気持ちがぐっとほぐれて、みんなマンテクの味方になってしまう。
おじいさんが仕入れてきた情報をもとに、この二人は遥か彼方のウズベキスタンへお見合い旅行へ出発する。

チョンジェヒョンは「知り合いの女」、スエは「家族」のイメージを引きずって観てしまうために、どうも違和感を持つけれど、もちろん、そんなボクの思いとは関係なくお話しはどんどん進んでいく。
とにかく、現地にも受入機関が組織されていて、ホテルでお見合いツアーに参加した四人を迎えたのが、美しい朝鮮族の女性ララ(スエ)。どういう思いからかはわからないけれど、応募(?)してきたウズベキスタンの女性をどんどんこの4人に紹介してくれる(お見合いだもんね!)。
何事にも積極的なヒチョルはとんとん拍子に女の子と仲良くなってデートにもこぎつけているのに、マンテクはララに好みの女性すら伝えられない。折角同席してくれる女性に対しても、はずむお話しのひとつも出来ない。
四人でディスコに繰り出したある晩、マンテクは鬱憤が爆発したのか、それともこんな自分が情けなくなったのか、したたかに酔い、つぶれてしまう...。

最初から、結局はこうなるのだろうなと予想される範囲の中でお話しは結末を迎えるのかと思ったけれど、どんでん返しとまでは行かないけれど、終盤にお話しはごろっと動く。
そうだよ、マンテク。やっぱり自分で必死になって動かないと結婚するとか、女性の気をひくなんて出来ないんだ!

ヒチョルが仲良くなる銀行員(?)の女性、なかなかかわいかったなぁ。ちょっと気になりました。
ララがいつも着ている、かわいいけれど、ちょっと垢抜けない風を装っている木綿のブラウス。良かったですね。

そういえばもう何年も前だけど、このアシアナに乗ってウズベキスタン、サマルカンドへ行こうと計画していたこともあったなぁ...(今は、関空から直行便が就航しているはず)。
地味目の俳優陣なので日本での劇場公開はどうでしょう? でもボクが知らないだけでTVドラマでは活躍しているのかな?
面白い作品なので、字幕付きで是非拝見したいと思いました。福岡アジア映画祭かシネ・コリアで上映してくれないかな。

おしまい。