四月の雪

いつか理解できる日が来るのだろうか...



  

これは一体どう形容すればよいのだろうか? それがよくわからない。メロドラマなんだろうなきっと。
ヨン様が主演している。ボクの贔屓のソンイェジンも主演だ。監督は「八月のクリスマス」「春の日は過ぎゆく」のホジノ監督。だから、はっきり言って、先入観がある。良くも悪くも。
もし、真っ白の状態でこの映画を観たとしたら、ボクはどんな感想を持つのだろうか? そんなことを考えながら映画館を後にした。

ストーリーはこうだ。お互い見ず知らずの男女が、病院の手術室の前にあるベンチで隣り合わせる。それは、偶然なのか必然なのか? その謎が急展開に説明され、この二人を巡るメロドラマが語られる。
男は舞台やコンサートの照明監督を務めるインス(ヨン様)、女はソヨン(ソンイェジン)。そう言えば「春の日は過ぎゆく」のサンウは録音技師だったなぁ。いかにもその実態が普通の人にはわかりにくく、想像力をかき立てられるような職業。

そこそこ練られた悪いお話しではないと思うけれど、観終わってからボクの心には余韻も何も残らなかったのは何故だろう? 平たく言えば、確かにお話しには起伏はあるけれど、花も夢も希望もない。こんな異常な状態で出会った二人が結ばれるという発想は、特異性という点で悪くははいけれど、希望の気配が全く感じられないままのエンディングは、苦さだけが口の中に残る。
ソヨンはこれらかの人生をどうやって生きていくのだろう?
インスだってそうするの? 今の仕事と生活をこれからも続けていくのだろうか?

テーマは何? ホジノは何を観る者に伝えたくて、何を残したかったのだろう? 普通の人ならまず経験できないないであろう恋模様や心の揺れなのだろうか?
ホジノ監督が描く女性の主人公は透明だね。家庭や生活の臭いが全然しない。ソヨンはまるで言葉の上でだけの結婚生活を送っているのはどうしてだろう? 何をするにも受身のままの彼女は、いったい何の象徴していたのだろう?
それとも、いつの日かボクにもこの映画が持つ意味がわかるのでしょうか?

語り継がれる名作ではないでしょう(きっと)。言葉にはならない淋しさが漂う作品ですね。

もう上映が終わろうかという時期、土曜の朝一の上映にもかかわらず、スカラ座2改めみゆき座には結構な数のお客さんが入っていたのには、ちびっと驚きました。

おしまい。