ナチュラル・シティ

あんまりわからなかったなぁ



  

いろんな情報に触れているから、どんな映画が公開されるのかはだいたいわかっている。でも、その映画がいつまで上映されているのかは、意外と知らない(チェック漏れしている)。だから、ついつい観逃してしまうことが多い。
ユジテの「ナチュラル・シティ」も九条のヌーヴォでレイトでやっているのは知っていたのだけれど、本来なら最終日になるはずの金曜が、改装のために休館するのは知らなかった。だから、慌てて木曜の晩にお邪魔しました。
チケットカウンターで「どんな風に改装するんですか?」と尋ねたら、凄く嬉しそうな顔をされて「座席数は減ってしまうんですが、ゆったりして、とっても座りごこちがいいシートに代わります」と教えて下さった。う〜む、確かに今までのヌーヴォは2時間を過ぎたり、ハシゴしたりすると身体が痛くなるシートやったからなぁ、あれはあれで、味はあったけれどね。 新しくなってからはまだお邪魔していないけれど、楽しみ!

さて、「ナチュラル・シティ」。
はっきり言って、何がなんだか。そして何が伝えたいのか、あんまりわからなかった。

まず、「ブレード・ランナー」の世界を再現したかったんだろうな。それは視覚的にすぐに理解できた。
でも、その世界で展開されるお話しがイマイチ理解できない。恋慕、友情、そして平和、そんなところがテーマなんだろうけれど、その表現方法がね。別に近未来の世界でなくても良かったんじゃないかな、そんなことを考え出すと、へそ曲がりなボクはすんなりとこの映画の世界に入っていけなかった。
それと、今のままの香港の街中の風景がそのまま近未来の都市だとは到底思えなかった。香港の夜景のシーンはもうちょっと加工してくれないとシンドイな。

近未来の世の中では、単純労働や特殊労働は、それ専用のロボットが担っていた。そのロボットは精巧なつくりで、外見は人間となんら変わらない。主人公のR(ユジテ)は、そんなロボットの暴走を取り締まり、食い止めることを主な任務にしている警察官。かつては優秀な人材でボスからの信任も厚かったけれど、今では部隊の中でも浮いている状態。表立って悪事を働いているわけではないけれど、どこか後ろめいた隠し事をしているような...。
実は、もうすぐ使用期限が切れてしまう女のアンドロイド(ロボット)リア(コジュヒ)に人間の肉体と心を与えようとしていた。そのために、金とあるものが必要になっていた。Rはそれを探し求めて街をうろついていた。でも、そうこうしているうちにリアの寿命はどんどん尽きようとしていた...。

アンドロイドが感情を持っているのか、それにアンドロイドが現体制の転覆を画策するものなのか。そんれは良くわからないのだけれど、説明も不足している。
この時代の背景というか、牛耳っている人間の考えが理解できない。
Rがどうして人間ではなく、アンドロイドに対して恋愛感情を抱くのか、そのロボットを特別な存在として意識するようになったのか。その必然性が語られず、ボクは戸惑ってしまう。
スラムに住む女性はどういう存在なのか? それもはっきりしない。

ボクがいいなと思ったのは、二人がソウル駅(?)で何度か経験する、ヴァーチャルツアー。いいなぁ。ほんの少しのコインでこんなヴァーチャルツアーを経験出来るのであれば、ボクもこのベンチに座りたい(まぁ、もし周囲から丸見えなんだったら恥ずかしいけどね)。

ちょっと踏み込みが浅いお話しですが、ユジテのファンならお楽しみいただけるのではないでしょうか。それ以外の方には、ちびっと苦しいかもしれませんね。
もう上映は終わっています。恐らく、DVDかビデオになるでしょうから、興味をお持ちの方はご覧ください。

おしまい。