恋する神父

デオ グラシアス



  

韓国のみならず、最近では日本でもすっかり人気者になったクォサンウ。そして、ボクのお気に入りのハジウォンの主演作。
神学校へ通い、卒業を目前に控えた神父の卵と、留学(移民?)先の米国から帰国したぶっとんだ女性の禁断の恋の行方を描いている。う〜ん。神父さまは任命式で、生涯の独身を誓うとは知らなかった。

悪くないお話しだとは思ったけれど、歯切れが悪かったのも確か。
それはギュシク(クォサンウ)が神父になることにどんな理由があり、どんな価値を見出しているのか、その説明がないことが大きな原因だと思う。家庭の理由でもいいし、主義信条的なものでもいい。それをはっきりさせないと、ギュシクの悩みや苦しみをボクは理解できない。それにギュシクの心の大きな揺れを表現できない。だから、観ながら「なんで?」とか「どうして?」と思わずにはおられない。ちょっと惜しいな。

印象に残るのは、自転車に二人乗りをして土手を走るシーン。それと、神学校で憧れの的だった先輩が卒業して僅かな期間に、結婚をして神職を投げ打ってしまったことがわかった場面。 そう、クラっとして、そして失望と羨望が入り混じった不思議な感情。何も神父にならなくてもいいのだ、違う生き方をこの先輩は示唆してくれたんだ。

優等生のギュシクは卒業を待つばかり、そんな朝、落ちこぼれの悪友ソンダル(キムイングォン)と一緒に儀式の進行を務めるが、大失態をしてしまい、その罰として地方の教会での特別奉仕活動を命じられる。この活動を認められないと卒業は延期になってしまう(ようだ)。
バスを乗り継いで、さらにバス停から山の中をずいぶん歩いた場所にある教会は、表面的には厳しい雰囲気だが、内実は優しいナム神父さん(キムインムン)を中心にアットホームな教会だったのだが...。

そこへ乱入してきたのが、この教会へ来る途中に出会った生意気な女が教会の講堂で眠っているではないか! 彼女はナム神父の姪ボンヒ(ハジウォン)。そして、お話しは、ありゃりゃ と言うか、やっぱりと言うか...。

もう少しお話しの展開にふくらみが欲しかったような気もするけれど、気楽に観て笑ってお楽しみいただければ、それはそれでいいのではないでしょうか。

おしまい。