人生の逆転/逆転に生きる

雨の日には、ラーミョンを食べに行こうかな



  

「ライターをつけろ」に続いてキムスンウの主演作。キムスンウのキャラクターのためなのか、同じようなテイストの男を演じている。そして、ボクの中で赤丸上昇中のかわいいハジウォンもキムスンウの恋女房役で出ています。
キムスンウやハジウォンがどうのこうのと言うよりも、あまりに素晴らしい発想で、それこそ鮮やかに一本取られました。面白い。第一ラウンドのシネ・リーブル梅田が立ち見で入れなかったのもうなずけます。もっとも、この盛況の理由は映画の面白さではなく、俳優さん(キムスンウ?)の人気だったのでしょうけどね。この日の高槻TOHOシネマズは、プレミアスクリーンを使っての上映。お客さんの入りは2/3ほどで、高槻の第三ラウンドでは一番多かった。

お話しのテイストは、イビョンホンの「誰が俺を狂わせるか」に似ていなくともない。人生に失敗した男が主人公なんだから。でも、その後の設定がまるで違い、その発想がいいですね、実に。
出ている人もカンソンジン、イムンシク、イハンウイ、イムチャンジョンなど多士済々。う〜んなかなかいいメンバーが揃っている。
「誰が〜」との決定的な違いは、主人公のスンワン(キムスンウ)がいつも前向きなことだろう。世や仲間を妬んだりひがんだりすることなく、いつもではないけれど基本的には前向き。その姿勢が観ていて共感できる。それが上手い。

かつてはジュニアの世界チャンピオン。いずれはプロゴルフの世界で華々しく活躍するはずだったのに、今では冴えない証券会社の営業担当。今日も株で損をさせた客に怒鳴り込まれて机の下に隠れる...。
そんなある日、姪にかわいい洋服を買ってやろうと踏み入れたお店で、店主の妙なおばさんに声を掛けられる。そして、その後、スンワンの人生は一変してしまうのだ...。

不思議だったのは、スンワンが入れ替わってしまった人生の中で、その事実を胸の中にしまってしまい「実は...」と誰にもしゃべらないことだ。普通は奥さん(ハジウォン)くらいには告白するもんでしょ? いや、幼馴染でありゴルフの師匠でもあるテシク(カンソンジン)には打ち明けてたかな?

何かがきっかけで、今までとは全く別の人生を歩むとは、映画ではそんなに珍しい設定ではない。だけど、スンワンはこの境遇に必死になってなじもうとする。その努力は涙ぐましい。その過程で彼が前世(!)でゴルフを辞めてしまった理由も解消されていく。少々強引そうに見えるのだけれど、お話しの進め方は上手い。
また、ボクは直前に「ライターをつけろ」を拝見しているので、そこでのキムスンウとキャラクターが上手くダブって、ますます面白く感じる。

見終わって、感動するとか心が震えるとか、そんな作品ではないけれど、なんかいいお話しを見たなって、そんな感じの映画です。次回いつスクリーンにかかるかはわからないけれど、ご覧になって損はしないと思います。まずまずのオススメ。
すでにDVDやビデオになっているようです。

おしまい。