誰が俺を狂わせるか

イビョンホンの映画デビュー作なんですね



  

韓流シネフェス。第一弾の梅田会場(シネ・リーブル梅田)に、ボクは近づくことさえ出来なかった。これは、ちょっと難しいなと観念していたところ、時期をずらしてJR高槻駅前にある東宝系のシネコンで、同じ銘柄の作品が週替わりで上映されることになり、チャンスとばかりにいそいそと出かけてしまいました。第二弾のホクテンザとあわせて、嬉しい企画です。

その一本目が、95年に公開されたこの作品。残念ながら映画としてももう一つかな。
要は、イビョンホン主演の作品として発掘され上映された作品。それでも、高槻TOHOはそこそこお客さんが入っているのだから、イビョンホンの人気の高さが伺える。
正直に言うと、細かいところは忘れてしまった。それほど印象に残らなかったのだ。
でも、こうやって書きながら思い出してみると、ストーリーそのものはなかなか面白かったんだなぁ。要は味付けの問題で、それがピリッとしなかったこと(まぁ10年も前の作品だから笑いの質も変わっているか)と、今と違って“かつて”のイビョンホンが意外と垢抜けないのが原因なのかもしれないな。

ジョンドゥ(イビョンホン)同じ会社の別の支店に勤めている彼女ジュヨン(チェジンシル)がいるけれど、そのことは誰にも秘密にしている。ところがその彼女と最近上手くいってない。それどころかこのジョンドゥ、何をやっても上手くいかない(このイビョンホンの駄目振りを紹介するエピソードはなかなか上手い!)。
挙句の果てに、別れ話を切り出して去っていったジュヨンの見合いの席に乱入して、その話しをブチ壊してしまう...(そりゃあんたちょっとやりすぎやで)。
私生活も仕事も上手くいかない。これじゃ八方塞がりですな。

見合いがぶち壊されたジュヨンは家から勘当され、仕方なしにジョンドゥのアパートへ転がり込んでくる「あなたのせいで住む場所がなくなったのょ」。部屋の鍵はかけ、お互いの交渉はなしだ。
そんなとき、ジョンドゥは職場へ出勤して驚いた! 彼の新しい上司こそジュヨンだったのだ。とほほ、面目丸つぶれ。冴えない成績のジョンドゥ、華々しい活躍で支店長に褒められるジュヨン。まるで地獄のような日々...。
そんなある日、ジョンドゥは夜間に行われる軍隊の予備訓練に参加する。久しぶりに銃を手にした彼は、酒に酔った勢いも加わって...。

話しの進め方によっては、もっとテンポ良く進むのだろうけれど、そうでもないし、一番気になるのが、笑いの裏に潜む“軽薄さ”。別に深層心理を描き出すのが大事だとは言わないが、もう少しジョンドゥの悩みの深さを描いければ、深みを出すことも可能だったかもしれない。
ボクは全くジョンドゥに同情できなかった。それどころか、最後の最後まで「アホな奴やなぁ」と突き放した感想しか持てない。これは、イビョンホンが悪いのではなく、そういうタイプの作品だということなのでしょう。
もし、ラストに「そうやったんか!」とか「ジョンドゥも変わったな」と思えたなら、この映画はもっといい作品になっていた(もっと高い評価を得る映画になっていた)と思います。ちょっと惜しいね。

相手役のチェジンシルは「手紙」でヒロインを演じていた方ですね。久しぶりにお顔を拝見しましたが、「手紙」のときよりも本作のほうがかわいいように思いました。

まぁ、言ってしまえば、ご覧になってもならなくても、どちらでもたいした影響はない映画ですね。お時間があればどうぞ。

おしまい。