地球を守れ!

ちょっと狙いがわからない



  

天六ホクテンザで始まった韓流シネフェスの後半戦、早くも第二クール。このクールはシンハギュンの主演作が二本。前回よりやや遅れてホクテンザに到着したけれど、そこそこの入りでした(立見にはならなかったけれど)。

まず、「地球を守れ!」。ちょっと猟奇的で暗い作品。
実は、ほとんど事前調査をしていなかったので、もっと明るいコメディだと思っていた。こんなストーリーだとは思っていなかったなぁ。
シンハギュンという俳優さんは、明るい役も出来るけれど、本当はこんなシリアスな役の方が得意なのかな? それとも、もし、全く同じストーリーを違う監督さんが撮ったなら、全く違う作品になっていたのかもしれない、例え出演者の顔ぶれが全く同じだとしても。
結論を言えば、お話しそのものは“悪くない”いや面白いと思う。だけど、この映画は観ていてあんまり楽しくなかった。全体に暗くて、楽しめない。だから、もったいないな(でも、モスクワ映画祭で監督賞を受賞したそうですけどね)。

ピョング(シンハギュン)は、宇宙人が地球の支配を試みていると信じている。その宇宙人たちのせいで、人類には破滅が待ち受けている。そこから逃れるには人間のふりをして生活しているエイリアンを見つけ出し退治するしかない(と思い込んでいる)。工場の勤めを辞め、山奥で養蜂業とマネキン人形の加工をして生活する傍ら、エイリアン探しに余念が無い。
今回のターゲットは、彼独自の調査の結果、かつて自分が勤めていた工場の社長。間違いない、あいつはエイリアンだ。

社長の誘拐へ向かう際のピョングの姿は爆笑ものだ。そのコスチュームに特殊ヘルメットを被らないと、エイリアンが放出する電波から自分の身を守れない(そうだ)。
どうにか地下駐車場で社長の身柄を奪取し、ピョングのアジトに運び込む。エイリアンの弱点は三箇所あり、その一つは足の甲。放出する電波を弱めるために社長を裸にして椅子にくくりつけ、紙やすり(タワシやったかな?)で足の甲をこすり、その傷跡へアンメルツ・ヨコヨコ(にそっくりなもの)を塗り込む。これで、電波対策は万全。また、宇宙にいる王子様との交信にアンテナの役目をする髪の毛は剃ってしまう。哀れな社長はぐったり...。
こんなに面白いエピソードが満載なのに、何故かいっこも面白くない。笑えない。もっと楽しくみせてよ!

資本家に搾取され抑圧されている労働者の鬱憤を晴らすのが狙いなの? それとも、エイリアンの存在を信じこんで次々に殺人を犯すピョングの行為を笑い飛ばしたかったのか? その狙いがわからなかった。じめっとせずに、もっとカラっと笑い飛ばすような演出にして欲しかったな。
ピョングの母親のエピソードは中途半端で、この部分だけ浮いてしまっているし、ピョングの弟子(?)で綱渡りの女性の存在もとってつけたような存在になっている。もっとどうしようもないのが、刑事の内紛のお話しかな。この部分は全くの無用で、意味がわからない。老練な刑事とソウル大出身の新人刑事がコンビを組んで事件を追うという単純な設定でもいいんじゃなかったの?

次回は、第二クールの二本目「火星へ行った男/天国からの手紙」をご紹介します。

おしまい。