甘い人生/a Bittersweet Life |
あゝ、もったいない! |
鐘路三街は映画館が多い街角だった。
ご存知ないかもしれないけれどハンソッキュウとチョンドヨン主演の作品「接続」。ここで重要なシーンとして出てくるのが、鐘路三街の交差点の北西にある映画館ピカデリー、ここは通りからちょっと奥まった位置にあり、この通りからの入口付近にあった建物の2階にあった喫茶店。当時はスターバックスもなかったんですよね。この喫茶店で、チョンドヨンはハンソッキュに待ちぼうけを喰らわされる。そう言えば、この映画で大事なキーワードがE-mailとポラロイドカメラ。まだデジカメも出始めたばっかりだった。
スカラ座からは短い区間だけど、地下鉄で一駅分ある。陽気もいいし、一本道だから歩きましょう。が、ボクの記憶にある場所にピカデリーがない。あせったなぁ。この地区を歩くのは久し振りだし、途中の 清渓川は工事中で雰囲気は一変しているし、ここかなと思っていたソウル劇場も改装され外観が一変している。あれれと思いながらも、新装された団成社のビルを発見し、どうやらピカデリーが入っているビルにたどり着けた。でも、今度は入口がわからない!
で、ようやくたどり着いたピカデリーで拝見したのが、イビョンホン主演の「甘い人生」。
お話しはちっとも面白くない。
確かに、イビョンホンの演技には凄みさえある。観ていて「凄惨」という言葉を思いつくし、「そこまでやるか」とも思う。だけど、その理由があれではなぁ。 さらに、ボクにとって決定的になったのがヒス(シンミナ)の扱われ方。この映画で描かれている彼女はまるで自分の意志を持たない「モノ」のようではないか。彼女の感情とは関係なく、まるでペットで飼われているイヌやネコを保護するかのような扱いなのはどうしてなのか。もう少し人間的に、自分の意思表示をして、ボスへの反抗心をあらわにしたり、イビョンホンへの淡い恋慕でもいい、モーションでもいい、そんな部分が少しでも挟み込まれていたなら、もう少しこの映画への評価が変わったかもしれない。
導入で踊るように職場(ホテルのレストラン)を巡回するイビョンホンは軽快で隙が無く美しい。 どこかの公園の裏に生き埋めにされ、そこから泥だらけになって這い出すのもご愛嬌なら、ラストのラストで“SHINWHA”のエリックが全くのセリフなしで登場するのもご愛嬌でしょうかね。 現地では公開最初の週末のソウルでの観客動員数は、同時公開された「拳が泣く」に僅差で敗れたようです。その後もそこそこの数字は残しているものの、パッとしていない様子。それも頷けるし「ソウルの方もちゃんと映画を観る目があるんだな」と妙に感心してしまいました。
「さぁ、早く紹介しなくっちゃ」と思っている間に、もはや日本でも公開されています。日本公開版と韓国公開版は同じなんでしょうかね。お時間があればどうぞ。 次回は翌日に同じくピカデリーで拝見した「拳が泣く/crying fist」を紹介する予定です(やっと順番が回って来た!)。 おしまい。 |