サイドウェイ

こんなお話しがあってもいいじゃない



  

普通の人が梅田で思い浮かべる映画館は、やっぱりナビオかな。でも、ここは1、2、3スクリーン以外はちょっと苦しい。ボクはここが「ナビオTOHOプレックス」になってから1、2、3スクリーンで観たことはない。それほどボクはメジャーな映画を観ないのだろう。
4と5は最悪で、ここに当たると、気分が萎える。7階の6と7は空いている時は何とも思わないけれど、混んでいると最低。
すると、このナビオが東宝の梅田の旗艦館とは、ちょっと理解に苦しむことになる...。

いつ終わってしまうのかとびくびくしながら駆けつけたのが今回の「サイドウェイ」。スクリーンは7。今回は空いていたから良かった。もっとも、そんなに焦らなくても、今でも劇場を変えて上映している。意外と入っていたあのか。

主演のマイルスは冴えないおっさん。どこで観たのかちっとも思い出せなかった。随分たってから、ポンっと膝を叩いた。「アメリカン・スプレンダー」でえハービーパーカー役をしていたおっちゃん(ポールジアマッティ)だと気が付いた。いじけた役どころは共通しているんだなぁ。二枚目の役には似合わないけれど、味のある役者さんですね。
物語りはなかなか面白い。いや、若い頃に観たら、面白くとも何ともなかったかもしれない。

友人とカリフォルニアのワイナリー巡りの旅行を計画している。そのジャックは俳優(?)、自身の結婚式を目前にして、最後のハチャメチャ旅行で羽目を外したいと思っている。そんな二人組みの珍道中が描かれている。
冒頭の数10分で、マイルスが未だに経済的にも自立していない頼りないおっさんだとよくわかる。学校の国語(英語)の先生をしているんだね。それに売れない(出版の見込みがまるでない)小説を書いて、エージェントを悩ませている。それだけならまだ許すけど、実は別れた奥さんにまだまだ未練一杯。そして、最も情けないのが、老いた母親が住む家に寄り、母親のヘソクリをこっそり持ち出すところ。こりゃ笑えないなぁ。ボク自身とダブらせたりして...。
が、このマイルス、ワインオタクなんだねぇ。こんなおっさんどこかにいそうだ!
少なくともボクは、秘蔵ワインをマクドの乾いたテーブルでこっそりとは飲まないけどね。

序章がマイルスの紹介に割かれ、中盤は名醸ワイン(?)の産地に着いてから。
ジャックはしたくてしたくて、まるでサカリがついたイヌのようなんだけど、マイルスはそっちはオクテで引っ込み思案。そんな彼がワインレストランでマヤという素敵な女性からモーションを掛けられる...。
いい年をしたおっちゃんのデコボコ二人組みの珍道中は続く。
なんだか“共感”出来るなぁ。笑ってしまうけど。

何があるという訳ではない。
でも、こんなおっさん向けの思わずニヤっとしてしまうお話しがあってもいいじゃない。そんな佳作です。
ボクが最も(!)関心したのが、マイルスの別れた奥さん(名前は忘れちゃったけど)がちっともチャーミングではないところ。どんな人なのか楽しみにしていたのに! 肩透かしを喰らわされた、でも、何だか妙に納得させられるキャスティングだったんだけどね。
今まで、カリフォルニアワインってほとんど飲まなかったけど、今度買ってみようかな。それに、ボクもこんなワイナリー巡りをしにカリフォルニアへ行ってみたいな。どんな出会いがあるのかな?

おしまい。