ニワトリはハダシだ

もう少し交通整理して欲しかったナ



  

何時の間にかこのおっさん(原田芳雄)もすっかりアクが抜けてしまった。好々爺とは言わないが、角が取れて丸くなった印象は拭えない。いつまでもワイルドな俳優さんでいて欲しかったような気もするけれど、いい俳優になったなぁとも思う。男の年の喰い方は難しい。

ちょっとお話しに伏線が多すぎやしないか。詰め込みすぎて、こんがらがって、観ているボクはすっかり混乱してしまった。
知的障害者、警察官僚の癒着と腐敗、二家族の親子夫婦兄弟の葛藤、在日韓国人...、少し交通整理しないとそれぞれがハーモニーを奏でるのではなく、お互いが主張しすぎて持ち味を消してしまっているような気がする。

潜水の仕事とダイビングは全く違う仕事なんだな。海に潜る時のコスチューム(?)が、前近代的なのにはほんとうに驚いた。冒頭、主人公(?)の少年サムが冬でもないのにどうして毛糸のツナギを着ているのか不思議だった。こんな格好をしていたら、海の中でもさぞかし動きにくいでしょうね。
舞台は舞鶴だけど、話されているのは標準的な関西弁で京都の言葉でもなかった。これも少し気になる。丹後の言葉はちょと違うのに。
ただ、舞鶴が美しく撮られている。ここ数年丹後に帰っていないけれど、帰ってもいいかな、そんな気にさせられる。

もう一つは、準主役養護学校の熱血先生の女の子肘井美香。この子この映画がデビュー作だそうだけど、なかなかかわいい。こういう少しぽっちゃりとした顔が好みなのです。うん。演技が上手いとか、芝居が出来るとかいうレベルには達していないけれど、今後の成長を大いに期待しましょう。応援しますよ。

訳がわからないまま、割りと歯切れ悪くお話しが進んで行く。ボクには、結局エンディングを迎えてても、正直なところよくわからなかったのだ。
面白くないお話しでもなく、倍賞美津子などいい役者さんが揃ってはいるんだけど、なんだかね。ごった煮状態。もう少し練り直して交通整理が必要だったと思います。
それとも、ボクが素直に映画を観られなくなっているのかな。

休日の十三ナナゲイで拝見しました。一日一回のみの上映、お客さんが20名ほどの入りだったのにはびっくりしました(もう少し少ないと思っていた)。もう十三での上映は終了していますが、各地で上映されるチャンスがあるかもしれません。

おしまい。