達磨よ、遊ぼう/Hi, Dharma!

なかなか上質なコメディ


  

ソウルで何がどこに売ってあるのか、ずいぶんわかってきたつもりだけど、それでもなかなかわからない。
そこで思い出すのが“アジアの鉄則”。『欲しいものは、その時に買う』次でいいやとか、もう少し安いのがあるかもしれない、なんてことを考えてはいけない。いいなと思ったらその時に買ってしまわないと、次にめぐり合えるかどうかわからないし、同じ店に次の日に行くチャンスがあっても、もう売っていないかもしれない。この鉄則を知っていながら、何度涙をのんだことか...。
梅田だと、タワーレコードやヴァージンなど大きなCDショップがあり、CDもDVDもそこそこの品揃えで並んでいる。あれほどの規模のCDショップが、ソウルにはなかなかない。今となっては、ミドバの地下のお店は貴重な存在やったなぁ。
今は、鐘路のビルの下のあるミュージックランドがなかなかいい品揃えで、そんなに高くない。でも、この店にお目当ての商品がなければ、苦しい。小さいお店を探し回るのは結構疲れてしまう。(※この「ミュージックランド」も閉店してしまい、もうありません)
ボクが知らないだけで、ソウルにはきっと大きなお店があるんだろうなぁ...。
誰か教えて!

で、今回選んできたDVDの一枚が「達磨よ、遊ぼう!」
2002年の夏に公開されたコメディ映画。この夏に「達磨、ソウルへ行く」という続編が公開される。

ボクが勝手に思っていたテイストとはちょっと違った。コメディではあるものの、仏教ものだけに「童僧」や「春夏秋冬、そして春」のようなストイックな部分があるお話しかと思っていた。ところが、そんなものはいっこもない、一切ない。
軽い気分で観て、なかなか面白い。繰り広げられるギャグの一つひとつが面白いというわけではなく、ヤクザが人里離れた山寺に乗り込んで居着いてしまうという設定そのものの勝利。着想がいいね。

主演は、ヤクザのリーダーにパクシニャン。坊さんのリーダーにチョンジニョン。このチョンジニョン、アタマを丸めているのでなかなか気が付かなかった!
そして、ヤクザ側にパクサンミョン、キムスロ、さらに「シルミド」で怪我をして炊事役になる兄ちゃん(なんとカンソンジン! 今調べてみるまで気付かなかった! 「アタック・ザ・ガスステーション」のタンタラやんか! 「シルミド」の時にも気付かんかった!)ともう一人。
坊さんは、タコオヤジ(この人、なんていう名前や? 調査の結果イムンシクという方でした、脇ばっかりやけど、この人売れっ子です!)、太ったイウォンジョン、無言の行をしているリュスンス。そして、紅一点の尼さんヨンファにイムヒョンギョン。
これって、なかなか渋めで芝居上手を集めたいい配役。

どんな理由なのかは、イマイチ理解出来なかったんだけど、とにかく抗争を起こし、ソウルに留(とど)まれなくなったヤクザの5人がバンに乗って田舎に逃れてきた。そして、たまたま乗り込んで行ったのが、すっかり人里を離れ深い山の中にあるお寺。しかし、途方にくれていたら、お寺の鐘がゴ〜ンと鳴って「そうだ、お寺だ!」となってしまう、その強引さには笑ってしまうしかない。
和尚さんを含めて5人(と一人の童僧)が修行がしているこのお寺、和尚さんの一言で滞在を許される。
しかし、お坊さんたちはもちろん彼らの存在を歓迎していない。そこで持ち出したのが、勝負。何かで勝負を付けて、負けたら寺を出て行かす。パクシニャンもそれに納得し、勝負を挑むことに...。

一体何で勝負するのかと思ったら、まず「お祈り」。ただ祈ったり、お経を上げるのではなく、仏前で立った姿から、膝を付き、手をついてひれ伏す、そしてまた立つ(ラマ教のお祈りのようなもの)。この反復をなんと、3,000回繰り返すというもの。リュスンスとキムスロが対戦するのだが...。
この一発勝負だったんだけど、これは序章に過ぎなかった。ここから思いもよらないいろんな勝負が繰り広げられ、抱腹絶倒の境地へと運んでくれる。
勝負を重ねるうちに、反発していたはずのお互いの関係が変わってくる。そこに芽生えたのは友情だったのか?
そりゃ、他には何の楽しみもない山の中で合宿生活を送っていたら、仲良くもなるわなぁ。

まぁ、これだけの役者が揃って、この設定ならつまらなく撮る方が難しいかな。
この映画の特徴は、色気がないこと(恋慕のような淡いものは設定されているけど)、そして下品なシモネタが使われていないことでしょう。だから、なんかあっさりしているような気もするけど、安心して観ていられますね。暴力は出てくるけど、なんだか禅問答を見ているような気分にさえなるのです。

かつて上映会で日本語字幕で上映されているようです。一般公開は難しいかもしれませんが、いつかどこかでスクリーンにかかる可能性は低くないと思います。

おしまい。