「初恋死守決起大会/Crezy First Love」

どうも消化不良だなぁ


  

チャテヒョン&ソンイエジンの組み合わせは前回紹介した「恋愛小説/Lover's concerto」と同じ。演じている二人は同じでも、映画の中で語られる物語りは、もちろん全く違う。
この映画、ちょっと消化不良で、何とも後味がよろしくない(ような気がする)。断片的に耳に届いていた情報をつなぎ合わせて、ボクが勝手に想像していたストーリーとは全然違った。「あれれ」って頭をひねっているうちに映画は終わってしまった。

設定やストーリーそのものは、そんなに悪くないと思う。だけど、脚本が悪いと言うか、お話しの落としどころが良くない。笑いのツボを外している。
テイル(チャテヒョン)が、イルメ(ソンイェジン)の父親から出された課題をいかにしてクリアするのかにもっと時間を割くべきで、課題をクリアしたその後をいくら面白おかしく展開したところで、何か取ってつけたようにしかならなくて、面白くとも何ともない。
チャテヒョンもソンイェジンも、人間的にまるで魅力を感じさせないキャラクターになってしまっている。これではこの二人をキャスティングした意味がない。
テイルは、一つの目的(イルメ、ソンイェジンと結婚すること)を達成するために、初志貫徹、一途で純な男、のはずだけど、そんな風にはまるで見えず、新しい恋人を見つけることも出来ない、単なるバカな男、としか見えない。
イルメは、男(テイル、チャテヒョン)の気持ちを理解することが出来ず、待つことに飽きたバカ女でしかない。

最終的にどうやってこのお話しのオチをつけるのかと心配していたら、意外な展開が待っている。
でも、この結末をメデタシメデタシと受け入れられる人っていったいどれくらいいらっしゃるのでしょう?
前半には、ちょこちょこっとは面白いシーンもあるけれど、期待はずれのまま。

こんなことを書いてきたけど、観終わってからの余韻は確かにある。
この映画は、「あぁ、こんな恋をしてみたい」という絵に描いた恋愛ものではなく、「俺やったらこんなことせぇへん」と思ってしまう反面教師ものだからこそ、憧れで終わってしまわずに、いろいろ自分に置き換えて考えてしまう。 自分に置き換えなくても、恋とは、愛とは、結婚とは何だろう? と考えさせられる。
幾ら幼馴染とは云え、親が勝手に決めた許諾に反発するのも道理。恋人に、自分の父親のようになってしまいたくない、と思うのも頷ける。それにしても、現代のお話しなのに、あんなにヴァージンにこだわる必要が、果たしてあるのか?
テイルにしてみたら、そこまでしてイルメへの初恋(?)にこだわるのはどうして? もっと自力で別の恋人を見つける努力はしなかったの?

ピュアな初恋に固執するテイルにエールを送りたい気もするけれど、心のどこかで違和感を覚える。それは自分自身の経験に照らし合わせたからだけではなく、テイルへ共感を覚えるエピソードの欠如が原因でしょう。
それに、お話しが後半に入るまで、イルメの心境が一切省みられないのも一因でしょう。とにかく、中盤までチュヨンダル(ユ・ドングン、イルメの父親)とテイルという男の視線のみで描かれていることに、この映画の敗因があるような気がする。
そして、取って付けたようなあイルメの心変わりにはどうも付いて行けないなぁ...。

唯一の収穫(?)、それとも目の保養は、意外とスタイルがいいソンイェジンのビキニ姿が拝めることでしょうか(?)。

そんなこと云いながらも、まずまず楽しめました。もっとも、語学力の問題で、チャテヒョンが特訓したという釜山訛は、ちっとも理解出来なかったけどね。 スカッとした楽しさ、ギャグ満載というわけではないので、日本での公開・上映はどうかな。かなり未知数(無理かな)。そんな気がします。

これで、ソウルで買ってきてもらったDVDを紹介する「番外」もひとまず終了します。

おしまい。